もう10年ほど前、地方の大学を卒業して就職のため東京に引っ越す直前のある夜の話。
当時住んでたアパートは大学近くの住宅街の中にあって、そこは深夜はほとんど人も車も通らない静かな地域だった。
貧乏学生だった僕は冷蔵庫と洗濯機の処分にお金がかかることを知って困っていた。
ふと、近所によくガラクタの捨てられている場所があるのを思い出した。そこは大学から住宅街に入ってくる道の途中にある交差点で、そこに立っている民家が道路から2メートルほど奥まって建っているためか、そのスペースによくいろんなガラクタ類が捨てられていた。
民家の人によると思しき「ここにゴミを捨てるな」という旨のかなり強い調子の張り紙もあり、長年ゴミ放置スポットになってしまっている様子が伺えた。
僕は、それが悪いことだと知りつつ、冷蔵庫と洗濯機をそこに置きに行くことを決めた。
夜中の3時を少し過ぎたころ、近隣が静まり返っているのを確認して行動を開始した。
台車も持っていたのだが、アスファルトの上では結構な轟音がするので100mほどの距離を気合で担いでいくことにした。
まず冷蔵庫から。汗だくになりながらも慎重に、例の場所へ。無事に冷蔵庫を運び終わり、何食わぬ顔でアパートに向かって歩き出す。
今のうちだと足早にアパートに戻り、息つく間もなく洗濯機を担いで同じ場所に向かう。冷蔵庫よりずっと重い。
再び汗だくになりなから、慎重に運ぶ。10分ほどかかってようやく例の場所に着き、洗濯機をおろした僕は驚き背筋が凍る思いがした。
冷蔵庫がない。
周囲を見回しても、冷蔵庫もないし人影もない。気味が悪いくらい静かだった。
たまたま通りかかった人が持っていった?夜中の3時過ぎ、わずか15分たらずの間に?
僕が運ぶ姿を見て誰かがつけていて、僕が立ち去ると同時に回収した?
お金になる資源ゴミを勝手に持っていくのは違法なので人目に付かずに動ける3~4時ぐらいに業者が徘徊してる 15分で攫われても全然不思議なことではない
なるほど。 投棄しに行った僕がその時間帯を選んだのと同じ理由でその時間帯に業者が徘徊してるわけか。 普段から投棄場所になっているから重点チェック対象になっていた可能性もあ...