2017-08-17

俺の方だけ

返信が来た。実家帰省するタイミングで遊びに行こうと思って連絡したが、やっぱり泊めることはできない、と。「申し訳ないけども、そんな事情です。」とのことだ。彼氏が居ても『あなたがいい』と俺のもとに来た君の拒否は、本当の拒否だ。

君のことを一番だと思ってた。でもそれは、俺の方だけだった。

あなた以上の男はいない」とアゲてくれた。信じてしまっていた。半年ちょっとで新しく彼氏ができて、これである。でも思い返してみれば、熱しやすく冷めやすいような、そういうところのある女だった。過ぎ去ったことは箱の中。別にこれは善悪とかそういう話ではない。言葉は必ずそのコンテキストを反映するものである。だから『そういう人間だったね』という気持ちになる。

いや、ズルいよ。

確かに俺はこんな遠距離ならちゃんと別れようって言った。でもそれはお互い辛い思いをしないためで、いつかどっちもまだ気持ちが残ってればまた一緒になればいい、とも言ったし、本当にそう思ってた。実際は半年ちょっとでこう。結局君は俺の言葉とおり自分のために選択した。その結果俺は選ばれなかった。それだけのことである。だけど、置いて行かれたのは俺の方。あんなに好きだと言っていたけど、今も好きだと思っていたのは、俺の方だけだった。一番深いところでまだ繋がっていると思っていたのは、俺の方だけだった。

本当に女々しいと思う。

その晩は眠れないことがすぐにわかった。だからそのままチャリに乗って、河川敷を走りに行った。言葉にしきれない思いが多すぎた。

明け方河川敷は人が少なくて、涼しかった。雲の向こうの鈍い朝日が美しかった。鳥のさえずり、川の水音の響き、沿道に咲く花の鮮やかのすべてが心地よかった。ひたすらに身体を動かして、風を切ることに身を任せれば何か変わるかもしれないと思った。

でも全く気持ちも、考え方も、当然事実も、変わることはなかった。どうやっても思考の隙間に君への思いが入りこんできて、俺をかき乱す。

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