お店に出すカレーパンの仕込みはなかなか大変なので、当日に出すもののための仕込みは大体二日前から始まる。
まずは最小のカレーパンとなるカレーパンの中に入るカレーパンを作ることから始まり、僅かな大きさのカレーパンを何個も作る。
そのカレーパンを何個も作ったところで今度はそれらを最小のカレーパンの中に詰め込み、これでひとまとまり。中カレーパンに入れるためのカレーパンである最小カレーパンを次に何個も用意する。
そうして中カレーパンの中に最小のカレーパンを何個も入れると、ようやく仕上げの作業に取り掛かれる。
最大カレーパンの中に先ほどの中カレーパンを入れていき、何個も何個も空間を満たすように中カレーパンを入れていく。
適度に満ち満ちた状態となれば、完成。
これがうちのカレーパンで、カレーパンの中には何層にも別れたカレーパンが入っており、それらは入れ子構造で、カレーパンの中にカレーパンがあってカレーパンの中にカレーパンとなって、最後にカレーを味わえる人間はごく少数しかいない。
それでもこのカレーパンは人気がある。
最小のカレーパン以外はただのドーナツやん
千層の歌、カレーの宇宙 小さき粒より始まりて 重なる層は秘めたる趣 人の辿り着く味の彼方 魅惑の旅路、星のごとし