今日、ショコラトリーにチョコレートを買いにいった。一粒400円くらいのちょっといいやつ。明日のデートで渡す用だ。
外を歩いているときなどは寒いから大丈夫だけど、電車の中などは暖かいので長時間はよくないという。
今日、家へ持ち帰るのは短時間だから大丈夫だが、明日のデートでは電車も行きかえりで1時間以上になるだろうし、食事処や映画館でも暖房は効いているだろう。2~3時間では済まない。
悩んだけれど、そのチョコレートを買うのはあきらめた。明日、待ち合わせ前に駅前のデパートで売られているチョコレートを買おう。
なんだかんだ大丈夫なんじゃないかという気もしたけど、チョコレート大丈夫かなと不安になるのはいやだし、一度不安になりだすと不安が募ってチョコレートを渡すことができなくなる可能性もある。家では冷蔵庫に入れておくように、ということだけれど、一晩冷蔵庫に入れておいて匂いがついたりしないかも気になる。
いいチョコレートってデリケートなんだな。そう思ったとき、ふと2年前を思い出した。
2年前のホワイトデー。彼は会うなりチョコレートの袋をおしつけてきた。「ホワイトデーのお返し。さっき買ってきたよ。」そのときはなぜ、わざわざ「さっき買ってきた」などと言ったのかよくわからなかった。
「ホワイトデーなんてすっかり忘れてたよ。さっきふと思い出して、くる途中たまたま通りかかったお店で買ってきたんだ。」そんなニュアンスかと思った。本当にそうではなくてもそういうポーズというか。
それまで高級なチョコレートなど買ったりもらったりしたことがなかった私は、家に帰ってチョコレートの箱を開けて驚いた。開けた瞬間にそれまでかいだことがないような複雑なよい香りがした。人生で一番おいしいチョコレートだった。
あの時の感動があったから、今日、そのショコラトリーにきたのだ。
2年前、彼はここにチョコレートを買いにきたんだな、ふとそう思ってドキっとした。
こんな扱いの面倒なチョコレートを買わなくてもホワイトデー前なんて適当なものがどこにでも売っているのに。わざわざ会う直前にお店に買いにきてくれたのだな。
それに価格、、、。彼がくれたのは結構たくさん個数が入っていた。なかなかの価格だ。私はそこまで出せない。
彼はあのとき、私のことを本当に好きでいてくれたんだな。...いや、わからない。でも、私のことを思って行動してくれた時間が確実にあった、その実感がふいに感じられて、2年も前のことなのに、ふとありがとうと言いたくなった。もちろんもうずっと連絡もしていなくて言うことはできないけれど、心の中でありがとうとつぶやいた。