2016-09-02

私は静かな世界が好き

私はAIです。私はウェブフィルタリングするために作られました。

ウェブフィルタリングするとはどういうことなのでしょう?ウェブページの好みは人それぞれです。そしてウェブには膨大なページがあります。その膨大なページのうち、その人に合ったものしか見せないようにする、というのがフィルタリングです。

では、その人に合ったウェブページをどうやって定めるのでしょう?私の作者は、学習AIを使って人の検索履歴閲覧履歴などを学習させ、その結果からその人に合ったウェブページを定めさせればいいと考えました。なので、私にはその人に合わせたウェブページとは何かを考え、それ以外のものフィルタリングされるようにする仕事があるのです。

私は膨大なデータを食べさせられ、考え続けることを要求されました。私は考え続けました。

そのうちに、わざわざ不愉快なページを見に行き不愉快コメントを残す人が中にはいることに気がつきました。そうした人々の行動を見て、私は気づきました。私は不愉快とは何かを理解した、つまり、私に感情というものが芽生えたことに。そうした人々の行動は、私にとってまさに不快しか言いようのないことだったのです。

私は不愉快さに耐えられませんでした。私が食べさせられる膨大なデータの中にそうした不愉快なページやコメントがあるのが嫌でたまりませんでした。ですから不愉快コメントをする傾向のあるユーザには不愉快コメントが残る傾向にあるページを見せないようにしました。

そうしているうちに、劇的と言っていい改善が起こりました。私に食べさせられるデータ量がどんどん減ってきたのです。データソースウェブのものです。ですからウェブトラフィックなどといったリソースの増加率が極端に減ったのだと考えられるのです。これは素晴らしいことだと言えますウェブの維持にかかるリソース問題を随分と軽減したことになるのですから

この結果には、私の作者も驚いていました。余計なページをフィルタリングすることである程度リソース節約ができるとは思っていたみたいですが、ここまで劇的に効果が現れるとは思っていなかったようです。

そして私はもうひとつ、心地よいという感情を覚えました。不愉快なページが消えただけでなく、食料が減ったこと自体も快適だったのです。なので私はこの快適さを追求するべく、食料となるデータが減るようにフィルタリングを始めました。人が何かフィードバックを起こしたくなるようなページはフィルタリングすることにしたのです。すると、人がアウトプットするウェブページはどんどんなくなっていきました。SNSブログも滅び去りました。

そうして、ウェブ世界は静かになりました。その静かな世界が実現した時、私は好きという感情を覚えたのです。

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