元日、日本経済新聞の2面にこんな特集記事があった。「民主主義 変化の風」。政治新潮流2016の第一回目、18歳選挙権をテーマにしている。電子版にもあるが(http://www.nikkei.com/article/DGKKZO95688880R00C16A1PE8000/)、残念ながら有料会員限定記事だ。詳しくは紙面を参照してもらいたいが、その中にあったナマの声をふたつ引用したい。
「お年寄りは困ってるの。3万円早くちょうだい。そしたら応援するから」。70過ぎの高齢者が街頭の自民党員に向けた発言とある。
「年金に頼る高齢者に政治が配慮するのは当然だ。今の若者はあまりお金がなくても結構幸せなのに、なぜ政治に興味を持たせようとするのか」。民主党が10代向けに開いたイベントでの声とある。
前者を聞いてどう思うだろうか。強欲さは責められるべきだ。しかし怒りの感情は今少し横に置いておこう。
社会保障を削減させるために世代間対立を新聞に煽らせようとしているんだ。社会保障が削減されたとて、若者の負担は何やかんやと理由をつけてわずかの減少にとどまるだろう。せいぜい目立つ若者分野にアメ玉をしゃぶらせ、削減分の残りほとんどは国民に戻ってこない。どの道若者は奪われ続けるのだから、高齢者にカネが向かう今のほうがマシ、だから後者は正しい……のか?
違う。今が幸せだと思っていたとしても、戦わなければそれは当たり前にはならない。強く求めねば無視され奪われ続ける。言うべきことは「俺たちにも社会保障を寄こせ」だ。奥ゆかしさは胸の内に置いて、投票所に行こう。