わたしの好きな先輩。
無口だけどよく気が付く。仕事が早いし丁寧だし、けっこう面倒見がいい。(本人はだるい、といってるけど実は嫌いじゃないんだと思う)
おとなしいけど、口調は方言丸出しでじじくさい。ついでに言うと背中も丸いし、歩き方もちょっとひょこひょこしてるし、
腕も手も細いけど、血管が浮き出て指は節っぽい、男っぽい手だ。声もちょっとだみ声みたいで、笑い声が悪役っぽい。だけど唇は厚くて赤い。
そこから覗く歯はタバコとコーラとコーヒーの常飲でちょっとくすんでる。
眉毛はないし、メガネの印象が強くて素顔が思い出せない。だけどそのすべてがなんだかいとおしい。
先輩の服のセンスは結構好きだ。明るすぎず、暗すぎない。自分が似合うものをちょうどよく着ている感じだ。それが仕事着であっても、
やっぱりセンスがいい。
仕事中、独り言で文句を言う。私が何かするたび、あきれたようにフッと鼻で笑う。好きなものはアニメとロック。
出不精で誰かに誘われないと外に出ない。食に無頓着。カルシウム取ってても、タバコと食生活がめちゃくちゃだよ。
書いてる自分でもどうしてこの人のことが好きになっちゃったのかよくわからない。
欠点も魅力に見えてしまう。一緒にいるとなんだか落ち着く。だからと言って四六時中好きなわけじゃない。
家族でもないし友達でもないけど、この人の前では嘘ついちゃいけないと思った。嘘つかなくても大丈夫だと思った。
一時期、これは運命の人か?とも思ったけどそうじゃなかった。多分、彼への好意は家族や親友と同じ好きなんだと思う。
なんていうか、それこそおじいちゃんとか親戚とか。とにかく今まで同性や近親者にしか持ったことのない情を彼に感じる。
それでも彼と恋人になれたら、それはそれで嬉しい。
もっともっと言えば、彼が私の夫になってくれたらとても楽で幸せだろうな。
彼とそういう関係になれなくても、私はそのままの彼が好きだ。
ああ、もうこれは確実に性愛じゃなくて親愛だ。