しかし、ブログで好きな作品のレビューを書いていた人が、だんだん自分ではレビューを書かなくなって他人のレビューをレビューすることで自己満足得たがるようになるともう終わりは近い。
まだ自分でレビューを書いてから他の人とレビューを比較しているうちはギリギリセーフだ。しかし、自分で書いてないレビューについて他人のレビューをけなすようになったら、カウントダウンは始まっている。サブカルヒエラルキーの誘惑にはだれも逆らえない。素直に自分が好きなことを楽しむことができなくなる。他人のレビューをけなしたことによって、自分のハードルを上げてしまうとレビューを書くこともただの苦痛になっていく。そこで自分をごまかして"そういえば最近ブログでレビュー書かなくなってきたな。でもそれには理由があって……"などと自分のレビューの数が減ってきた理由を自己弁護したりし始めたらもう足が前に進まなくなる。自分が書いたレビューの数より他者のレビューへの言及が多くなってしまった人間はもうオワコンへの道をまっしぐらに突き進んでいる。
ま、仕方がない。その人はズルをしてその報いを受けているだけだから。自分で一生懸命記事を書いてみんながそれを読んで喜んでくれる、という地道な積み重ねに耐えられなかったのだね。それよりも、他人のレビューのダメな点を指摘して、自分はわかっている、という顔をするほうが楽なことに気づいてしまった。せめてそれを自分の中だけでとどめておけばよかったのに、それをブログコンテンツにする誘惑に勝てなかった。短期的な、即物的な勝利に目がくらんでしまった。そして、その勝利の嬉しさに抗えなかった。彼は、しばらくしたら自分で自分にたえられなくなってひっそりブログたたんじゃうか、自分は他人のレビューにケチを付けるけれど、他人が自分のレビューにケチを付けることは絶対に許さない、という人間になるかどっちかだ。
これはもう何度も繰り返されてきた光景。誰も抗えないサブカルの掟。 それでも自分だけはこのサブカル地獄で他人の感想にケチをつけまくっても生き残れるというのであれば、ぜひ心ゆくまで挑戦していただきたい。 我々はその姿を心より応援するものです。