ちょっとした事情で複数のギャルゲー・乙女ゲーをプレイする機会があった。
普段ゲームで遊ばない人間としては新鮮で楽しかったのだが、主人公と自分の性別が同じ、つまり攻略対象が異性のキャラクターだと、何とも言えない気まずさを感じて素直にゲームを進められないという経験を何度もした。
美少女たちとキャッキャウフフするのは、完全に虚構の上での出来事なので、結構わりきって楽しめる。
キャラがいかにも男受けをねらっていてあざとい、という感じも受けず(多分これは私が男性のフェティッシュなツボをよく知らないからだろう)、娘や妹をかわいがる感覚に近い。
逆に乙女ゲーが遊んでいて恥ずかしいのは、極端にデフォルメされた人物造形(描画の様式ではなく人となりや行動パターン)や、異性愛者の女性が男性に抱く欲望の型をあれこれ提示する様子を直視するのがためらわれてしまう。
自分が女性であるがゆえに、あくまでゲームという虚構の中で向ける視線にもかかわらず、虚構としてわりきれないものが残る。ゲーム内で描写されるような、一方的な視線を現実の男性に対して向けてしまうのではないか、いやいやそれはどうも、と思ってしまう。あるいは単純に、男性に対する性的な欲望を向けることに対するはばかりなのかもしれない。
おそらくこういう感覚は馴れの問題で、ゲームに親しんでいる人ほど、虚構性を現実から切り離して自由にその世界を楽しむことができるのだろうと思う。