2014-05-15

人生意味を本気で考えだしたとき人生の終わりなんだよ」

人生意味を本気で考えだしたとき人生の終わりなんだよ」彼は言った。フライドポテトをつまむ手と、唇には油がこびりついている。そして続ける。

「それに気づいてしまった奴は一人残らず死んでる。具体的にはマンションの4Fから飛び降りてる」

太宰治とか?芥川さんとか?」私は尋ねた。

「いいや。それも違うね。一般論すぎるね。本物はもっと早い。もっと早くに人生意味を考え、小説はおろか、遺書1つ残さず死んでるんだ」

「でもね、生きている人だって沢山いるわ。そんなこと考えたこともない子も沢山。現に私がそう」

「そういう人は天才だよ。生まれながらの天才だよ…嫌そうな顔しないでくれよ。皮肉を言ってるんじゃない。僕はね、人生テーマパークだと思っている。待ち時間と食事の代金が高いことを気にしなければ、楽しいことだらけさ。適度な刺激と、そして最近になって遊具安全性が見直されたんだ。ほとんど死ぬことがない。そんな遊園地には奇妙なルールがある。それは裏側を見てはいけないんだ。例えば着ぐるみのファスナーを探したり。アトラクションの裏で巨大な機械が轟音を立てているのを見たり。そういうのを見てしまうと、決して元には戻れない。絶望して、観覧車てっぺんから飛び降りしか無くなるのさ」

「そこには救いがないの?一度気づいてしまったらもう戻れないのね?」

「救いはもちろんあるさ。それは簡単ことさ。ハリボテも、ファスナーの奥のおっさんも含めて世界だと認めることさ。そして僕らの世界は確かに作為的な、人工的なものによって作られていると知ることなんだ。その不完全な世界を、許してあげることさ」

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