2013-04-28

7.5cmヒールの話

今まで、おしゃれなんてめんどくさいだけだと思ってた。服を選ぶのも面倒で、ベーシックものユニクロ無印、見えるところはearthとかローリーズファームとかゆったりとして着心地が悪くなくて安くてそれなりに来てる人が多いテイストで、ってのを適当に選んできていた。

それが、なぜかこの春、急に服を見に行くのが楽しくなった。

痩せたわけではない。太ってはいないが、サイズとしてはぎりぎりMくらい、下半身が太めなのは十代からである

しかももう三十だ。若くはない。

でも妙に楽しい

ウィンドウショッピングして、よさそうなのは手に持ってみて、店員さんと話して、こういうのとあわせるといいかもとか教えてもらって、買ったり買わなかったり。

原因はわからない。彼氏とも別れちゃったし、かといって次だ次という気分でもないのに、なぜだか着飾るのが楽しい

二十代の半ばくらい、社会人になったばっかりの頃、社会人になったしこんどこそ垢抜けようと思って綺麗な色合いのものを買ってたとき全然楽しくなかったし、似合わない気がしてほとんど着なかった。実際に似合わなかったしテイストもバラバラだったから、うまく品よく着るのは相当難しかったはずだ。

年を取ると万人受けが求められるようになるから、私の好きなシンプルテイストの物を勧められることがふえる。それもたぶん楽しくなった一因だろう。若さを失ったほうが、自分の心を抑圧する必要がない。

でも、一番の要因はたぶん7.5cmのヒールである

足のサイズが大きくて幅が広いので、今までパンプスは合うものがなく嫌いだった。

でも、試着室の端っこにあるパンプスは多分大体7cm以上のヒールがついてる。それをはいて鏡の前にたつと、いつもより足が細くそして長く見えることに気づいた。

7.5cmってのが足が一番きれいに見える高さらしいのだが、本当にそうだと思う。今まで足がコンプレックスコンプレックスで、それでおしゃれが嫌いだった。なにを着ても似合わないと思ってた。でも、そんなことないじゃん。意外にその辺にいる人と変わらないじゃん。そう思ったらなんだか楽しくなって、一生懸命7.5cmヒールパンプス探して履くようになった。

ちょっとした、たとえばガラスへの映り込みだったり、鏡の前を横切ったりする時、自分から目を逸らさなくなった。ぎょっとしなくなったからだ。自己満足なのはわかってるし、やっぱり細い人は細い、美脚な人は美しい、足の長い人は長いと思うけど、自分を見た時にぎょっとしないというだけでこんなに自信になるものなんだとびっくりする。悪くない。「悪くない」はなかなか見つからない。私の場合、その「悪くない」の魔法は7.5cmのヒールだったらしい。

記事への反応(ブックマークコメント)

ログイン ユーザー登録
ようこそ ゲスト さん