歴史街道 2011年5月号はノモンハン事件(ハルハ河戦争)でしたが、なんか読み終えたあとすごく気持ち悪い読後感が残ったのだが、どうしようもなく、うまく言語化できずに二週間ほど過ごしたが、最近「http://www21.tok2.com/home/tokorozawa/faq/faq08j02.html#01749」を読んで、ようやく、なんとなく言語化できるような気がしてきた。
敵の圧倒的な戦力の前に、日本兵達は決死の覚悟と高い練度で驚異的な善戦をしてみせ、空でも陸でもソ連軍におおきな被害を強いた。そのまま戦い続ければ勝てる戦いだと現場では理解されていた。しかし、しかし、日本は負けた。なぜなら、現場を遠く離れた軍の上層部や政府が愚かだったり、スパイに騙されていて、正しい判断ができなかったからだ。悪いのはすべて軍上層部や政府であり、奮戦した現場には何の落ち度もなく、むしろ被害者といってもよいほどだ。そのうえ、そんな莫迦な参謀たちや、政府によって、日本国国民たちは騙されて、おおきな被害を被った。
なんかさー。これって、いま世間をぐるぐる廻ってる話と同じじゃない?
悪いのは全部愚かでやることなすこと失敗ばかりの「奴ら」であって、現場で奮戦している人間には何の罪科もなく、我々国民は一方的に騙されて被害を被った被害者なのだ。
でも、そーじゃないよな?
軍の方針を決めていた「奴ら」や、政府の「連中」はきっと実際はそれなりの超エリートでそんなに愚かじゃなかっただろうし、彼らが決断したのは酒に酔ってたからとか、誰かに騙されたとかそういうことじゃなくて、国家の方針を真剣に考えて決断した結果だろうし、スタンスだって遊び半分でやってたわけじゃなくて、それぞれが持てる能力を持って状況に取り組んでいる国家指導者であったりするはずじゃないかい? 「現場で奮戦している人間たち」の多くは前々から、放置していてはいけない問題点に気付いていながら、なにも言わなかったものが大勢いたはずだし、我々国民だって完全にイノセントではなくて、国の振った旗を大歓迎で追い掛けたたり、得意げに人に語ったりしてたはずじゃないのかいね。
ノモンハン事件に関する記事に、どうしても嫌悪感を覚えたのは、それと同じ。
自分たちは悪くない。悪いのは全部上の連中。上の連中は何も考えてなくて失敗ばかりで、おかげで自分たちは貧乏くじを引いたのだ。
それってさ。新橋の飲み屋で酔っぱらって、ただ上司の悪口をいって、ふらついて駅員を怒鳴りつけてる酔っぱらいか、自分たちは一方的に嘘に騙されていた完全な被害者なんだぜー、とかYoutubeで得意げに謳っちゃうのと同じじゃない。
と一般社会から隔絶された生活を送るキチガイがつぶやくのであった。。。
自分はそうじゃないと思っているのか?
上層部が無能だったのか実は有能だったのかを後世の人が判断する基準は、 反対する意見を述べた者への処遇だよ。