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☆ 福島原発の事故について,実は津波だけの影響でも起こったのではないか
福島第1原発は,1号機に続いて,3号機でも,格納容器の外で水素爆発を起こしている。我々は地震の構造的影響が事故を起こしたような錯覚に陥っているが,実はそうではないのではないか。東京電力や保安院の発表を追っていると,あの地震が起こっても,もし津波がなかったら,原子炉は停止しただけで,何も異変は起こらなかったのではないかと思われる。
インドのゴアで1980年にカイガ原発に反対運動が起こった。その時の反対運動のリーダーが昨日,あれっ,我々は津波に対する安全には,全然考慮を払っていなかった,と絶句していた。福島についてだが,予備電源防護に関する安全は,津波高さ5mで設計されていた,しかし,実際は7mで,津波は防壁を越えて,予備電源が運転不能に陥り,それが原因で格納容器内の水を確保できなかった,と報道されている。
さて,地震動に対する原子炉の安定については,十分な安全が保たれていた,事実,原子炉は停止したけれども,破壊はされていない。地震動に対しては最高の解析がなされ,建設され,安定を保った。ところが,最大津波の高さを5mに設定したときは,どの様な統計的な計算が行われたのか。察するに,余り大きな議論はされずに既往最大とかの,漠然とした基準となったのではないか,発生確率の計算など行われたのか。
今,NHKが福島2号機でも給水機能が失われた,と放送している。津波に対する防御の設計は,高さ5mを10mとすることのコストは,殆ど全体の経済性に影響しなかっただろう。津波に対する防御を,高さ10mとしていれば,今回の悲劇は起こらず,日本の高い安全度が証明されたであろう,と考えると,残念至極である。全能力を格納容器の構造的安定に使い果たし,壁の高さは簡単に5mとしてしまった,と私は見ている。