2022-08-26

コロナ規制緩和に関する私見

全数把握(全感染者の情報登録)取りやめ

感染者の情報登録ボトルネックとなってそこかしこ破綻するのは全くもって好ましくなく、全感染者の詳細な情報登録を取りやめるのは妥当だろう。一方で、感染者数の把握を引き続き行うことにしたこと評価できる。陽性率が異常に高くなっている現在、捕捉感染者数が実感染者数から相当乖離していると推測されるが、それでもなお、感染者数は感染状況の把握や統計学的検証有用であると考えている。特に波の真っ只中で数の基準を変えることは、そのような検証無為しかねず、数の把握を維持したのは妥当だ。

今回の全数把握の緩和は妥当であると考えているものの、これはやむを得ずそうせざるを得なくなったという前提での妥当であって、そこに至った経緯は全く評価できない。まず、この変更が、状況がいよいよまずくなってきてから議論され実行されていることだ。こういうのは落ち着いているときに話をすべきであって、逼迫してから急いで変えると無駄な過ちを犯しかねない。現に、都道府県への「丸投げ」が問題とされているが、これは結局、何のために情報登録をしていたのか、そして何故今やめることができるのか、そこが曖昧なまま、ただ逼迫しているからやめたという短絡的な対応をしていることの現れだろう。

また、同じように全数把握を行っている韓国は、日本よりもはるかに多くの感染者数を出しながら破綻していない。マイナンバー医療機関デジタル化など広範に渡る政治的問題だが、なぜ韓国のようにできなかったかは省みられるべきだろう。

水際対策緩和(帰国PCR検査免除

リスク低減の観点からは水際対策を続行するのが好ましいが、諸外国とのバランスや、日本国内で感染拡大している現状を考えれば、この施策合理性を見出すのがいよいよ難しくなってきており、やむを得ないだろう。ただし、今後も変異株の可能性は消えず、どういった条件でどのように水際対策を復活させるかはあらかじめ決めておくべきだろう。

ウイルス流入を防ぐという目的に立てば、検査免除対象ワクチン3回目(以上)接種者に限定しているのは意味不明である。オミクロン株に対して、現在使用されているワクチン感染予防効果は数か月で急速に低減する。2回目以降のワクチン接種後の期間を指定するのであればまだしも、3回目以上とするのは合理的ではない。一気に緩和したくないので、クッションを設けたかったのかもしれないが、理由が立たない規制はすべきではない。これもまた全数把握と同じく、施策目的曖昧になってしまっている。

感染者の隔離期間短縮

これはまだ決まった話ではないが、感染者の隔離期間短縮が検討されている。現在10日間という期間は感染者の感染性(発症ウイルス量)の検証結果から決められた値で、これを短縮するのは明確にリスクを増加させるものである。またもや同じような話になるが、「社会が成り立たないので、短くします」という短絡的な判断があってはならない。短縮するのであれば、リスク評価した上で国民提示し、明確な目的を持った上で実行すべきだ。

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