2022-02-21

カーリング選抜制を考えてみる

是非はともかく、やるとしたらこうなるんだろうなという予想。

1.メンバーの入れ替えは原則年1回

まずこれが前提事項となる。今回女子金メダル取ったイギリスのチームは、1年前とはメンバーが2人入れ替わっているが、半年前の世界最終予選とは同じメンバーだ。

カーリングは春後半~夏がシーズンオフになるので、その間に人を入れ替えることが度々行われる。五輪を契機に大きなガラガラポンが行われることが多いが、年1のシーズンオフでも1~2人くらいの入れ替えは時々ある。

一方、サッカーみたいに試合ごとに代表選抜して入れ替えると言うことは、そのイギリスでも行っていない。例外は、メンバーがケガして競技不可になった場合の補充だけだ。

2.国内強化が難しくなるので、強化は原則海外遠征

選抜制の弊害ともいえるが、イギリス中国国内試合が出来る環境にない。相手ほとんどいないからだ。言い方は悪いが、選抜から漏れた残りの人達をかき集めてチームを組んでもロクなチームはできない。そんなチームにスポンサーはつかず、まともに活動することも困難。そのため、選抜制の場合必然的海外にずっと出て強化することになる。

3.代表選出プロセスブラックボックス化して批判の嵐になる

今のクラブチーム制は、代表選定のプロセスとしては非常にガラス張りである日本選手権で良い成績を収めたチームが代表決定戦に集い、その中で最も良い成績が得られたチームが代表になる。納得するかどうかはともかく、プロセスとしてはとても明確でガラス張り状態だ。

選抜制だとそういうことは現実的に困難。

それ以上に問題なのは代表選出に対して批判の嵐になる事が不可避なこと。

常に20人以上代表が選ばれるサッカー代表でさえ毎回「なんでこの人がいるんだ!(最近の事例では長友選手など)」「スポンサー枠じゃないかコイツ!(事例多数)」「この人は監督愛人枠だね(森保監督広島時代の教え子だった佐々木翔選手に対する揶揄)」と騒がれる傾向にあるのに、4人か5人しか枠が無いカーリングでそんなことをやったら「コイツ枕営業したのか!」という下衆な勘繰りが大流行してしまうのがオチだ。枕を実際にはやっていなくても、タブロイドメディア放火してくることは避けられない。「カーリング娘」とか「クリスタルジャパン」とか「そだねージャパン」ではなく、「枕ジャパン」と呼ばれるようになるだけだ。

それを回避する策はない。

候補20人くらい選んで、その中から4人選ぶ方式で多少の緩和は考えられるが、20→4の段階で結局同じ事が起こる。20人を5チームに分けて決定戦やるという手もあるが、それだと今のクラブチーム制と実質的に変わらないか選抜制にする意味がない。

別の切り口では、イギリスがやってるように「スキップに選ばせる」という手があるが、そのスキップが集中放火されるだけだ。

4.まとめ

サッカーのような選抜制を想定して「カーリング選抜制にしろ」と言っている人に対して、「あなた想像している選抜制とは全く違うものになるよ。サッカー選抜制の悪いところだけは受け継がれるが」とだけ言っておく。

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