2022-01-10

つの間にかフォー

 今年で40歳になる。心の中では、年が明けたら一つ歳を取るような気分でいる。だが私は早生まれではないので、口に出して「40です」と言うと、誕生日の頃に混乱が生じるので、言わないけど。

 四年くらいで坂を転げるように老け込んで、顔の造形自体はあまり変わっていないのにヨボヨボな印象になった。人って、こんなに簡単に老化するんだ……。

 最近は、首が痛くてラジオ体操で空を仰ぐようなポーズをするのが辛い。『きのう、何食べた』でシロさんが「死なないために健康に気を配らなくてはならない年齢」を嘆くところが刺さり過ぎてつらい。

 うつぶせ寝で本を読みながら脚をバタバタさせると、不意に膝があらぬ方へ曲がって「あ゛ーーーっ!!」って本気の悲鳴出る。奥歯をせっせとフロスしても歯間はドブのような臭い

 はぁー、これが40歳か。これからもっと老いる。

 この間、子供習い事保護者会があった。上級の子の親達は年齢がかなりバラけていて、下はピチピチの30代、上は余裕の五十路。下級生の保護者の一人が、ある上級生保護者コンビに面と向かって、

「ずっと二人は親子なのかと思ってました」

 と言った。そしたら二人のうちの年上の方の人がすかさず、

「それって私が娘ってこと?」

 と言った。その切り返しの速さたるや。年長者の人達はそういうのが上手い。そんな風にさらっと受け流すスキルが身に付くなら歳を取るのも悪くはないなとおもうけど、誰もがそんな風に歳を取るごとにコミュ強になったりはしないんだろうな。

 いい加減もう女を降りたいと切実に思う今日この頃だったりする。接客業なので仕事ときだけはがんばって身綺麗にはしているけれど、若い女の子と張り合っているように見られるのが嫌だ。

 同僚で、唯一の私と同年代の人がいて、その人は私より一つ年下なのだけど、ある日イメチェンして前髪を眉の上で切り揃えたところ、男の客からいきなり

女子大生のつもりかバアサン

 と暴言を吐かれた。たかがそんなことで言われなきゃならんのか。

 私はこれはこれで見苦しいとか苦情をつけて来る奴はいるだろうなと思いつつ、白髪をあえて放置している。まだ目立たないからではなく、むしろかなり目立つ量だが真っ白になるには程遠いくらいの量の白髪だ。この通りばばあだからかまってくれるなと思いつつ、存在感が透明な空気になってほしいと思いながら働いている。

 こんなんだが、楽しみのない人生を送っているのかといえば、そうでもない。漫画小説を読むのが若い頃以上の楽しみとなっていて、新刊の発売日を心待ちにしている。が、心待ちにする時の思いがいまだかつてなく悲愴だ。

 発売日まであと何日。無事購入して読みきるまで私はがんばって生きるし、家族世界も健やかに平安無事に生きていてくれと、切実にねがってやまない。

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