2019-12-05

マルワリード用水路

3年くらい前の初冬だったか

いつも通り仕事を終えて23時過ぎに帰宅すると、妻と娘はすでに寝ており、私はテーブルに用意されていた夕飯を食べながらTVをつけた。

たぶんNHKドキュメンタリー番組放送されていたのだが、その内容があまりにも凄くて、平日にもかかわらず深夜までその番組を見続けてしまった。

大まかな内容は、アフガニスタンNGO活動をする一人の日本人医師用水路を作り、砂漠を緑化して何万人もの人が暮らせる基盤を築いた、というもの

その人の名前中村哲といった。

本当に素晴らしい人で、何の後ろ盾も持たない小柄なおじいさんなのだが、現地の人のことを考え、病気の原因は水がない事、と、何の知識もないところから、1から、本当に手探りで、大河から砂漠へ水を引くプランを作った。

帰国した元難民、干ばつで農業のできない人々、そういった現地の人たちに少ないながらも日当を出し、みんなで、現地の人々の力で用水路を作った。

お仕着せの援助でなく、現地の人たちが最後には自分たち独立してメンテナンス出来るように使う技術を選んだり、実際、用水路の一部が決壊した時には現地の男たちがあっという間に補修していく様子が映し出された。

色々な課題を乗り越えついに用水路には水が通り、かつて干ばつで干上がった砂漠には農業が復活し、大人子供も、男も女もみな笑顔暮らしていた。

そうして豊かになった土地ではISなども入り込めないという。

餓えや貧困選択肢を奪い人々を蛮行に走らせるのだと、綺麗ごとでなく証明していた。

その中村医師が、何者かの襲撃を受けて亡くなったそうだ。

ニュースを見てもショックを感じるということは無かった。

ただ、ただ、残念でならない。

中村医師は9条によって日本海外での軍事力行使を行わない(行えない)事にかなり肯定的だったから、ネット上には心無いコメントもあった。

結局死んだ(殺された)とか、素晴らしい人だが愚か者だ、というような。

いったい、どこの誰なら中村医師にそんな事をいう権利があるというのか?

彼ほど現実直視して、立ち向かい、たくさんの勝利を得た人間がほかにいるのか?

真の意味で、世界平和のうち数%を担っていた人物だと思う。

同じ日本人として、などと、彼と同じカテゴリーに入ろうとする事すらおこがましく感じられる。

NHKはあのドキュメンタリー再放送してほしい。

  • 昨日してたよ

  • とりあえず参考資料     http://www.peshawar-pms.com/site/dr_works_index1.html https://www.nishinippon.co.jp/item/n/421815/ http://kitanosumibit.jugem.jp/?eid=253 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%AD%E6%9D%91%E5%93%B2_(%E5%8C%BB%E5%B8%AB...

  • 今朝ニュースで読んだー。 中村医師、その前に同僚がやっぱり同じようにして襲撃で亡くなった時、「アフガン人のために尽くしたのにアフガン人に殺された」とは言わないでくれって...

    • 中村氏がアフガンを豊かにすると、貧困を基盤とする「暴力組織」は困るんだろうな。

    • 戦争でしか、混乱でしか生きられない人たちがいる。 英語でいうとウォーモンガー。日本だと、江戸初期の武家やっこ(かな?) 平和と安定が来たら困るんだよ。

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