2016-02-20

ハイボール日本を「酔っぱらいの国」にする。

これはあくま東京都区部生活圏にしている自分から見て、という話なんだけども、

どうもここ数年、酔っぱらいにやさしい風潮が広まっているような気がしてならない。

というのも、電車の中でビールチューハイの缶を袋で隠しながら飲んでいる人は前から多少はいたが、

近頃は会社帰りのリーマンが連れだってコンビニからビール缶を手に手に出てくる。

またメディアでは「昼呑み」やら「朝呑み」やらが取りざたされ、店先でもアピールに余念がない。

立ち飲み屋世代わず人気だったり、いわゆる「センベロ」という言葉を聞く機会も増えた気がする。

どうしてだろうと以前からぼんやり考えていたが、

ふと「ハイボール流行」がその流れに影響しているのではないか、と思った。

いつからだか具体的には思い出せないが、じわじわハイボール流行りはじめた。

自分の周りでも、最初の数杯はビール、あとはハイボールで、という人が増えた。

そして今や「流行り」ではなく「定番」として受け入れられている。

扱われ方としては、ビールの代わりにゴクゴクいける酒、という感じか。

しかし、このハイボールウイスキー、つまりハードリカーを割ったものだ。

ゴクゴク飲む酒として代表的なのはやはりビールだが、アルコール度数は5度前後のものが多いだろう。

一方、ハイボールはどうか。

いくら炭酸で割ったとはいえ、もとは40度もある酒だ。

それにもし、これを自宅でつくって飲むとなれば、

酔いが進むと同時に濃くなってゆくのも自然のこと(自分のことです)。

実際、サントリーが缶で売ってるハイボールは通常で7%、「濃いめ」と称するもので9%だったと思う。

15度前後日本酒ワインビール感覚で飲む日本人はそうそういない。

確かにハイボールはそれらと比べれば低い。

低いが、ジョッキとか、メガハイかいうノリでゴクゴク飲んじゃってもいいような酒なんだろうか。

若者ビール離れ」などと言われて久しい。

でも「酒離れ」にはなっていないのではないかと思う。

ビールから離れて行きついた先がハイボールだったりしたら、

社会全体のアルコール濃度はむしろ高まっている。

ハイボール流行に関して、これもまた自分感覚なんだけれども、

「無理やり流行らされた感」(恵方巻みたいな)はなかった。

ごくごく自然に、人々が自然に求めた感じだった。

簡単な話、ハイボールがなぜ流行たかというと「安くて強い」からだ。

あの地震の影響もあるかもしれない(時期的にも少し被っている気がする)。

そしてどうも最近、ある種の「諦念」が世の中に蔓延しているような気がしてならない。

これ以上がんばってもどうしようもない。報われない。あの頃とはもう違う。

それならせめて楽に(酔っぱらって)生きようじゃないか、という空気が。

そんな世相にハイボール合致しただけかもしれない。

しかハイボールという酒が、その流れを加速させているような気がしないでもない。

水は低きに流れるという。なら酒はどうか。

「ハイ」ボールもまた、人々を高みへは導かないだろう。

もっとも、自分自身も他ならない(からこそこんな文章を書いてみた)。

そんな流れに流されまくって週末ともなれば昼から酒浸りになっている自分のような人間は、

ハイカーストのお歴々にひたすら搾られる側なんだろうな、とも思う。

といったことを考えながら通勤電車に乗っていたら、

「私らしく、なんてどうでもいいじゃない。」

というコピーが書かれた氷結広告を見て、

何とも言えない気分になった。

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