これはあくまで東京都区部を生活圏にしている自分から見て、という話なんだけども、
どうもここ数年、酔っぱらいにやさしい風潮が広まっているような気がしてならない。
というのも、電車の中でビールやチューハイの缶を袋で隠しながら飲んでいる人は前から多少はいたが、
近頃は会社帰りのリーマンが連れだってコンビニからビール缶を手に手に出てくる。
またメディアでは「昼呑み」やら「朝呑み」やらが取りざたされ、店先でもアピールに余念がない。
立ち飲み屋が世代問わず人気だったり、いわゆる「センベロ」という言葉を聞く機会も増えた気がする。
ふと「ハイボールの流行」がその流れに影響しているのではないか、と思った。
いつからだか具体的には思い出せないが、じわじわとハイボールが流行りはじめた。
自分の周りでも、最初の数杯はビール、あとはハイボールで、という人が増えた。
そして今や「流行り」ではなく「定番」として受け入れられている。
扱われ方としては、ビールの代わりにゴクゴクいける酒、という感じか。
しかし、このハイボールはウイスキー、つまりはハードリカーを割ったものだ。
ゴクゴク飲む酒として代表的なのはやはりビールだが、アルコール度数は5度前後のものが多いだろう。
一方、ハイボールはどうか。
それにもし、これを自宅でつくって飲むとなれば、
酔いが進むと同時に濃くなってゆくのも自然のこと(自分のことです)。
実際、サントリーが缶で売ってるハイボールは通常で7%、「濃いめ」と称するもので9%だったと思う。
15度前後の日本酒やワインをビール感覚で飲む日本人はそうそういない。
確かにハイボールはそれらと比べれば低い。
低いが、ジョッキとか、メガハイとかいうノリでゴクゴク飲んじゃってもいいような酒なんだろうか。
でも「酒離れ」にはなっていないのではないかと思う。
ハイボールの流行に関して、これもまた自分の感覚なんだけれども、
簡単な話、ハイボールがなぜ流行ったかというと「安くて強い」からだ。
あの地震の影響もあるかもしれない(時期的にも少し被っている気がする)。
そしてどうも最近、ある種の「諦念」が世の中に蔓延しているような気がしてならない。
これ以上がんばってもどうしようもない。報われない。あの頃とはもう違う。
それならせめて楽に(酔っぱらって)生きようじゃないか、という空気が。
しかしハイボールという酒が、その流れを加速させているような気がしないでもない。
水は低きに流れるという。なら酒はどうか。
もっとも、自分自身も他ならない(からこそこんな文章を書いてみた)。
そんな流れに流されまくって週末ともなれば昼から酒浸りになっている自分のような人間は、
ハイカーストのお歴々にひたすら搾られる側なんだろうな、とも思う。
といったことを考えながら通勤電車に乗っていたら、
「私らしく、なんてどうでもいいじゃない。」
何とも言えない気分になった。
定量的な視点にすごくおおきな欠陥があって、これくらい頭が悪いと人生楽しんだろうなーと思いました。
面白い文章だな。増田書くときの参考にさせてもらう。