偶然(と言い切る)名字しか知らなかった彼の名前を知る機会があった
漢字から読み方を推測して、え!そんな名前のイメージないなぁ いやどちらかと言えばこっちの読みじゃない?なんて予想したりしていた。
そうして彼の名前を知ってからしばらく経った今日。暇に暇を持て余した私は布団に寝転びながらスマートフォンをポチポチと弄り、無駄な時間を過ごしていた。その時私の手はFacebookのアプリを開き、友達とも言えない人達の近況を濁った目でスクロールしていた。どうしてFacebookに記事をあげる人達はあんなにも無個性なんだろう。どうして事ある毎にそれぞれのグループが海へ行って横に並び右手を高く掲げるワンピースの一コマを再現するのだろう っと話が逸れた。
スクロールが終わった後、私の脳裏に彼の名字が浮かぶ。きっと地味で大人しそうな彼の事だ。リア充の巣窟(だと思ってる)であるFacebookには登録などしていないだろうな、と思いつつFacebookの友達検索バーに彼の名字を入力する。
すると、アイコン、フルネーム、そして出身地までが彼と一致する情報が検索バーに表示された。
そんな、まさか。
そこに表示されたアイコンの彼は私がいつも見ている彼ではなく、少し垢抜けていて、髪色なんかも明るくまるで別人だ。しかし可愛らしいその顔はまごう事なき彼なのだ。
知らなかった、と言えば当たり前だ。接点なんてものは何もなく私が一方的に可愛いなぁ、とチラチラ見ているだけなのだから。それでも表示された彼のアイコン、写真に衝撃を覚える事しか出来なかった。
そして私はそこで辞めていればよかったのだが更に暇を持て余し過ぎた結果彼のフルネームをTwitterで検索した。
Twitterだしな、という私の予想に反して彼が本名をツイートしたツイートがあっさりと出て来てしまった。
アイコンはよく見る姿の彼が好きなアニメキャラとツーショットを撮っているアイコンだったのですぐに分かった。
少しくらいなら、私の中の悪魔が囁き彼がツイートした内容を遡っていく。
彼が呟くツイートには草が生やされ、アニメやゲームの話をし、成る程予想した通りだ、と自分の予想が当たっていた事に少なからず喜びを覚えた。
しかし彼のツイートはあまりにも無防備だと心配になってしまう。
年齢、誕生日を公表し本名をツイートし、働いている場所の店名を出し、家の近くに何があるかを呟き、自分の出身中学までツイートしてしまい更には自分と妹のツーショットまでを公開してしまうのだから。これだけで最寄駅は容易く特定出来てしまった。
本名一つでここまで分かってしまうのだからもう少し用心するべきだよ、と教えてあげたくなる。それは叶わないのだけれど。
9月の始めからツイートは途切れているが、知ってしまった以上フォローをしてしまいたくなる。けれど私は彼が好みだと挙げている携帯ゲームもPCゲームもやっていないから、白々しくまるで関係のないアカウントからフォロー出来ないなぁ、と思っている。非公開リストとやらも、通知は行くらしいと知り、追加することも出来ない。
だから私はきっと彼が気になる度に検索バーに彼の本名を入力し、またツイートを見てしまうのだろう。
ああ、知らなければよかった。検索なんてしなければよかった。
何も知らないはずなのに彼のTwitterを遡っただけで彼の事を知った気になって、少し嬉しい、だなんてまるでストーカーみたいじゃないか。
こんな人間が世の中にはきっとごまんといるのだろうから、私含めTwitterでは無闇に本名をツイートしたり個人を特定出来るような事を呟いてはいけないな。
愛に気づいてください 僕が抱きしめてあげる
アイパー きつすぎて