この命題はこれから語られる三つの命題のいちばん根本に位置する第一命題である。
神は存在しない。
私たちを私たちの外側から定め、その実在を保護してくれる神というものは存在しない。
今まで神が存在したのは各々の神が一致していると思っていたからだ。
神は存在しない。
私たちは神を信じることで繋がることができる。
各々が各々を各々の世界に繋ぎとめ、各々を各々として生かすことができる。
なぜなら、それは私たちの可能性を封じ、まったく不自由なものにするからだ。
それは近代という神によって、考える葦という自己認識を与えられたからだ。
しかし、人々はこの知恵を授けられた瞬間に、呼吸不全になった。
そのために、私たち個人は一致して、近代という神を自らの不信によって殺した。
しかし、私たち個人は造物主を失った途端に、この世界を失った。
私たち個人は今、究極の虚無に、剥き出しの世界に相対している。
失われた過去を取り返し、
時に神擬きに騙されるかもしれない。
神なんていないと斜に構えたくなるかもしれない。