昔勤めてたブラック企業の社長のブログを毎日監視してるくらいには恨みを持っている。
俺がやめた翌日くらいに、やれ、使えない従業員の定義は〜だの、恩を仇で返されただの、ブログにつらつらと書いていやがった。
他のヤツがやめたときもそうだ。闇落ちしただの、最近の若者は根性がないだのって散々書いてやがった。
うるせぇ。勤怠切る前からオフィスの掃除させたり、終電まで働かせて割増賃金や残業代払ってなかったくせに何を偉そうにいってんだ。
だけど、そいつの会社が大型の出資を受けたのをプレスリリースに出したときからブログが大人しくなってきたんだ。
書いている内容はポジティブで宣伝ばっかり。自慢の奴隷扱いはどこにいったのか、もう見る影もない。丸くなったのか、出資元から釘を刺されているのか真相はわからねぇ。
いずれにしても「こういうニュースで取り上げられました!」「こことコラボします!」といった投稿しかされなくなって見る価値がなくなってしまった。
あんなに虐げてきたヤツを許しているわけでもないし、墓に入ってからも恨み続けてやろうと思っていたやつへの関心がなくなったんだ。
矛盾しているかもしれないが、心に穴がポッカリ空いたかのように虚しさを感じる。肩の荷が降りたような感覚もありつつ、複雑な心境である。
憎悪と恋慕は、想わずにはいられないという点で類似している