2024-08-17

ガラスの仮面(1975年連載開始)の読みやすさ、イカれてるとしかえんな・・・

ブラックジャックの少しあと、こち亀より少し前、そんな時代に生まれ作品としてオーパーツレベルだろ。

漫画文脈がいよいよ洗練されていく過程に出来た作品でありながらここまでスッキリとした読み味、演出意図メリハリ視線誘導の迷いの無さは時代を考えれば異常としか言えん。

同じ時代に生まれた化け物コンテンツとして釣りキチ三平ポーの一族があるけど、これらの作品も今読むとどこかゴチャついた読みにくさがある。

だがガラスの仮面の読み易さはなんだ。

何が恐ろしいって、どのページもどの演出も「これをどういう気持で受け取ればいいのかわからない」と迷子になることが一切ないことだ。

それぞれのシーンの作中における意図がハッキリと伝わるわけだ。

この時代漫画といえばよくあるのが、コマやページの空白を埋めるように粗雑なギャグが挟まり、迷い箸のような行儀の悪さを感じさせることだが、ガラスの仮面ではそれが極めて少ない。

これから何を描きたいのか、次に何を読ませたいのか、物語をどこに向かわせたいのか、それらが作者の中にシッカリと固まっていて、それを読者に精緻に伝える漫画的なコミュニケーション力を持っている。

何より凄いのが「この物語をただそのまま楽しませることができれば、読者はそれだけで満足するはずだ」という確固たる自信だ。

それが虚勢なのか本心なのかまでは紙面だけでは伝わらないが、ただ一直線に作品を読者にめがけて投げつける渾身のストレートのなんと鋭く重いことか。

漫画が無数の技術文脈を身に着けた時代を生きる50年先の未来人が読んでなお、「漫画が上手い。漫画力が高い」と思わせるここの普遍的技量、揺らぎのない精神性はなんだ。

とんでもない作品だな。

50年弱も連載して未だに完結もしないダラダラと間延びした過去遺物だと思っていた自分が恥ずかしい。

正しく知る誰もがその完成を待ちわびる漫画界のサグラダ・ファミリアだ。

漫画力の高さが本当に狂っとる。

どうやったらこれを1970年代に描き始められるんだ……

  • 読んだことないけど興味持ったので今度読んでみる

    • https://manga.line.me/product/periodic_book_list?id=S104754&from=free&t=1723874086969 横だけど今ガラスの仮面全話無料公開してるよ

      • 1話だけ読んだけど、絵が古臭く全然面白くない。 やっぱ手塚治虫は偉大だなぁ

  • 映画だけど3時間のタイタニックもそんな感じだよ 『何が恐ろしいって、どのページもどの演出も「これをどういう気持で受け取ればいいのかわからない」と迷子になることが一切ないこ...

  • 1975年の時点で既にベテラン漫画家だった 「はるかなる風と光」の後のはずだし

  • ふーんそうなのか でもガラスの仮面って アニメはそんなに出来が良くなったような記憶がうっすらと残ってる それほど演出意図が明確なものを原作にしてつまらないアニメってつくれ...

    • ガラスの仮面のアニメよくできてるじゃん 2回アニメ化されてるけど最近の方ね テレ玉で今放送してる もうすぐ終わるけど

      • 横だけど 俺はリアルタイムで浜村淳が なんでこうなるんでしょうねーーーーー!!! ってガラスの仮面のアニメをラジオでディスってたのを覚えてるから 元増田が言ってるのは昔のほ...

  • 「これをどういう気持で受け取ればいいのかわからない」 togetter でゲーム論を喋ってた人も似たことを言っていた。 プレイヤーがどういう気分になればいいのか分からない、のをダメ...

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