岸田と増田は、高校時代からの親友だった。几帳面で大人しい印象の岸田と、雄弁で人情味あふれる増田。
一見正反対の二人だが、互いの長所を認め合い、卒業後も親交を深めていった。
社会人となった二人は、同じ政治家の道を歩み始めた。岸田は着実に実績を積み、党内での地位を固めていった。
一方、増田は弱者の声に耳を傾け、熱心に支援活動を行っていた。
ある日、重要な法案の採決を前に、岸田は増田に協力を求めた。「この法案は経済を立て直すために必要なんだ」と岸田は主張した。
しかし増田は、「でも、この法案は弱者を切り捨てることになる」と反対の姿勢を示した。
岸田の目に、普段は見せない冷徹な光が宿った。「増田、君はいつも損ばかりしている。政治家として成功したいなら、時には冷静な判断も必要だ」
増田は苦悩した。弱者のために戦うべきか、それとも岸田の言う通り現実的な判断をすべきか。結局、増田は自分の信念を貫くことを選んだ。
法案は可決され、岸田の評価は上がった。一方、増田は党内で孤立を深めていった。それでも、彼は弱者の声に耳を傾け続けた。
年月が過ぎ、二人の立場は大きく変わった。岸田は首相の座に就き、増田は地方議員として細々と活動を続けていた。
再会した二人は、互いの人生を振り返った。岸田は権力を手に入れたが、孤独だった。増田は貧しくとも、多くの人々に愛されていた。