買い物に出掛けた。高架下の曲り角に、ポイントカードが落ちていた。バーコードが印字されいているので、どうやら裏面らしい。署名は空白だ。磁気定期ではなさそうだったので少しホッとする。拾い上げるか……。迷ったあげく、落し物を凝視したのち、その場を去る。
今日は100均で新しい箸を買った。箸なんか折れるまで使えばいいと思ったが、この時期らしい青みがかったデザインに清涼感を覚え、気づいたら買い物かごに入れていた。2膳で220円。日常のささいな贅沢だ。セルフレジのためポイントカードのゴタゴタもなくストレスフリーに会計を済ました。
あとは消耗品の調達。ドラッグストアで食洗機用の洗剤を購入した。「ポイントカードはお持ちですか?」この質問が苦手で、対策のためにわざわざ並ぶ前からカードを取り出し、店員さんの見える位置に構えるようにしている。今回もいいタイミングで質問を封じることができた。
ポイントカードを忘れてしまったときは困る。会計時に「あ、無いです」と言えば新規入会を促され、「あ、忘れました」(「あ、」って最初に言ってしまう)と言えば店員さんから「ではスマホアプリで代用できますがいかがさないますか」と返されてしまう。忘れたら八方塞りなのだ。
帰り道、再び例の高架下であのポイントカードを見つける。今度はバーコードのある裏面ではなく、ロゴの入った表面だった。誰かが気になって裏返したのだろう。持ち主は落したことに気づいているのだろうか。あるいはわざと捨てたのか。ポイントカードのいざこざに巻き込まれてないといいが。もしかしたら、そんないざこざから解放されたかったのかもしれない。