バス停で、5人くらいが待っていた。男の子を連れたお母さんや、ご老人や、仕事帰りのおじさん。このご時世なので、みんなずいぶん距離をとって、ガードレール沿いにだいぶスカスカした行列を作っていた。
普通に考えれば、同じくバス待ちのお客さんとしてやってきたわ自分はその行列の最後に並ぶべきなんだけど、どうしてもその列の一員になりたくなくて、わたしは一歩離れたお店の軒下でその行列を眺めていた。
眺めながら待っているうちにもバス待ち客は続々とやってきて結局行列は10人を超えたと思う。
バスがやってきて、並んだお客さんがぞろぞろと乗り込んで、あとふたり、くらいになってやっとわたしは列の最後に並んでバスに乗った。
到着順なら6番目だったのが11番目になろうと、そのせいでバスの中で座席にあぶれても、そんなことよりあの『並んだお客さんのうちのひとり』になるのが、どうしても気持ち悪くていやなのだ。並んだお客さんの一人になって、わたしの後ろにしらないお客さんが5人もぞろぞろ並んで、並んでみんなでバスを待って、それがものすごく気持ち悪くて嫌なのだ。
なんでわたしはこんなに集団の一員になるのが嫌なんだろうなあ。
わたし以外はみんなちゃんと並んでいたので、少なくとも(並びたくないなあ)って思う派は10%以下なんだな。
みんな、なんで平気なんだろうな。
幼稚園の頃から、お遊戯でみんなでおんなじ動きをするのが気持ち悪くて仕方なかったし、学生時代は何十人もいる教室の全員が黒板に向かって座っているのが気持ち悪くて仕方がなかったから、せめて集団が視界に入らないように、いつも最前列に座っていた。
自分が少数派……というかもはや異端であることは知識として理解しているんだけど、たまに実例を目の当たりにすると、なんでわたしだけこれがこんなに嫌なんだろうって不思議だ。
なお弁解しておくと、20時近くの閑散とした駅前バス乗り場だから並ばないで遠くで眺めてたのであって、自分も並ばなきゃ迷惑になるような時はちゃんと並びます。
でも、並ばなくていいなら並びたくないし、混じりたくない。
気持ち悪いなあ。