こんな夢を見た。
フランスで行われるという鉄道のイベントを見に長距離列車に乗ると、ずいぶんと古めかしい仕立ての列車で、客車を機関車で引く客車列車らしかった。
一緒に乗り込んだはずの友人とは席を探しているうちにはぐれてしまったようで、どうも隣の車両にいるらしい。
私の席の前後には若い兵士たちが銃を担いで乗っていて、彼らは陽気に「どこから来た」「どんな仕事をしている」と話しかけてくる。私もたどたどしく「日本から来た」「これこれこういう仕事をしている」と答えた。簡単な英語なら通じるらしいが、それよりも彼らが私の席の方に銃を立てかけてくるのが気になって仕方がなかった。
そうこうしているうちに、田舎の駅についた。回りには何もないが駅はそこそこ大きく、どうやらここで乗り換えるようだ。
プラットホームに下りてぼんやり列車を待っていると、やはりこの駅止まりの列車が入ってきた。この列車にもイベントに向かう人が大勢乗っていたとみえて、下りてきた乗客たちでプラットホームはたちまち混雑した。
その客のなかに古い友人が2人いるのを見つけ、しばらくしてやってきた列車には彼らと一緒に乗り込んだ。同じ列車に乗っていた友人の姿はいつの間にか見えなくなってしまった。
乗り換えた列車はイベント向けのもののようで、蒸気機関車が引っ張っているのか、ともかく特別な列車のようだった。
列車の中でぼんやりしていると、フランスの田舎を走っていたはずが、いつの間にか日本の田舎を走っている。
外には菜の花が咲いてうららかな日が差していたし、なにより列車が長い客車を繋いだ特別列車から国鉄時代に作られた古くて短い編成のディーゼル車に変わっている。イベント目当ての客で混んでいた車内も友人を含めて何人かがちらほら座っているだけだった。いつのまにか、はぐれていたはずの友人も近くの席に座っている。
「あれ、フランスを走っていたはずなんだが」と思って思い出すと、蒸気機関車が爆発して事故に巻き込まれたような気もしてきた。
じんわりと、どうも死んだらしいとわかってくると、フランスのあの世から日本のあの世へ国鉄型のディーゼル車で移送されているような心持ちになってきた。