乗った瞬間気づいて、すぐ降りて停留所一つ分歩いた。SIMカードを止める?再発行する?などと考えつつ戻って、探したが(無くす直前までバスの路線を見ていた記憶があった)落ちていない。
バス停の近くに交番があり、バスに乗る前は留守の表示が出ていたが警官が戻っていたので戸を開けたらまさに私のスマホを机に置き、書類を作成しているところだった。
安堵してスマホを落としたと言ったところ、書類を書き終わるまで待たされた。
身分証明書を出したが、一瞥されただけで手にも取られず、本人確認はロック画面解除でなされた。(充電切れる前でよかった)
無駄と思いつつも本心から警官にお礼を言った。落とし主にもありがとうと言いたかったが、名乗らず去っていったようなのでその機会はおそらく失われた。
数年前、財布を拾って届けたときのことを思い出した。その時は、謝礼が欲しいなら落とし主が現れたときに連絡するので住所氏名を書けと言われて、書かずに謝礼の権利を放棄したのだった。
スマホの拾い主がもし後日現れ、謝礼を要求されたとき、どうするか、という話をされた。非現実的だが、もろもろの書類と同じく、形式的な手続きなのだろう。
相場はいくらくらいなんですか?と尋ねたら、おそらくは本体の価格によるでしょうかね、と言われた。
本体よりもむしろ中の情報やSIMカードの方が、無くしてから目の届くところに戻ってくるまでの私にとっては大事で、気がかりだったのだが。
そういう気持ちは謝礼にこめられない