会社で、大嫌いなオッサン上司にめちゃくちゃ嫌味な言い方で矢継ぎ早に詰められることがある。
全然仕事しないし、できないくせに、人を責めることだけは一丁前で皆から裏で嫌われているあのオッサンに理不尽に詰められてるとき、私はよく夫の金玉に思いを馳せる。
夫は風呂から上がると、暑苦しいからかよく脱衣場のドアを開けて身体を拭いている。脱衣場のすぐ外はリビングなので自然と夫の姿が視界に入る。
夫が背中にタオルを当ててゴシゴシ拭くと、身体の揺れに連動して金玉がぶらぶらと揺れ、金玉に乗っているあれが小さく跳ねる。そのユーモラスな姿を見ると、妙に安心するというか、謎に気持ちが落ち着いてくる。
なので、つい金玉に視線が向かってしまう。夫はそんなこと気にもとめず、いつも涼しい顔で身体を拭いている。
なぜだろう、セックスのときは金玉に特に興味はもたないのに、何故かあの風呂上がりの揺れる金玉が私はとても好きなのだ。別に特別大きかったり綺麗なものでもないと思う。私は父、元彼、夫の3人の金玉しか見たことがないのでなんとも言えないが、多分どこにでもあるような普通の30代男性の金玉だろう。
なのに、何故か妙に微笑ましい気持ちになる。一種のマスコットみたいに捉えているのかもしれない。
昨日の昼過ぎにも訳の分からない理由で怒鳴られて、気がついたらまた、私は夫の金玉のことを考えていた。
このオッサンの金玉は絶対あんな風には揺れないだろう。そう一瞬思ったあと、うわっ気持ち悪っ、と我に返って、内心少し笑った。