「怒ってるわけじゃないんだけど、連絡もなしで中止にするって普通じゃないよね?」
「え、なんの話?」
「いや、友だちグループで一緒に映画に行こうって約束したのね」
「うん、おれ関係ねえなw」
「それで待ち合わせの場所に行ったの」
「続けんのかよw」
「うん?」
「だから寝ないで行くことにしたのね」
「ありゃりゃ、じゃあきついね」
「うん、きつい、でも遅刻したくないじゃん」
「まあわかるけど」
「それで行ったら誰もこない」
「あー、なるほど」
「LINEも既読にならないしさ」
「うん、まあ」
「移動中かもしれないから待ったのね、全員遅刻ってないなあって思ったけど」
「うん」
「待ち合わせ場所を間違えてたんじゃなくて?」
「今回だけ違うとか」
「ないない、もしそうだったとしたら連絡くるでしょ」
「まあそうか」
「それでそのあとLINE来たのね」
「そのあと?」
「ああ」
「連絡忘れてたって」
「ありゃ」
「怒ってるわけじゃないけど、これって普通かな?違うよね?」
「そうだよね」
「違うよ、私もいれて四人」
「そんで来たのは君だけ?」
「うん」
「じゃあ他の二人には連絡してたわけだ」
「いや、三人会ってたときに中止にしようって話になったらしい」
「なんだそりゃ、それで君には連絡するの忘れてたって?」
「そう」
「ひどいね」
「それがあってから、怒ってるわけじゃないけど、どうしたらいいかわからない」
「あー、あのね、さっきから怒っているわけじゃないって3回言ったけど」
「うん、怒ってないと思うよ」
「それ一回横に置いてみよう」
「どういうこと?」
「『怒ってる人のイメージ』あるじゃん、怒鳴るとか暴れるとか」
「うん」
「それと今の自分を比べてみてどう?」
「怒鳴ってもいないし暴れてもないじゃん、でしょ?」
「そりゃそうだけど、心の中は見えないからね」
「心の中か…、ざわざわしてるかな、落ち着いてはない」
「うん、でも『怒ってる人のイメージ』と同じではないって?」
「うん、そういうんじゃない」
「これさ、怒ってる人がやりそうなイメージだよね」
「どういうこと?」
「世の中的には怒鳴ったり暴れたりしてる人を指して怒ってるっていうよねってこと」
「うん」
「間違ってるってわけじゃないんだけどさ、怒るってそれだけじゃないと思うんだよ」
「うん」
「うーん、やだなとは思ってる」
「なるほど、でもそれは怒ってるわけではないって思うわけ?」
「うん」
「じゃあもう一回確認したいんだけど、怒るってどういうことだと思う?」
「怒鳴るだけじゃなくて口論とかあるじゃん、ひどいこと言ったり」
「うん」
「ああいう誰かを痛めつけるようなの」
「なるほど、それは『攻撃』って言い換えられるかな?」
「うん」
「とすると『怒ってる』は『攻撃する』と同じってこと?」
「うん?うーん、同じような違うような…」
「まったく同じじゃなくても『怒ってる』なら必ず『攻撃する』ってことかな?」
「うん、なんかそんなイメージ」
「すると、『攻撃しない』ならそれは『怒ってる』とは違うってことになるのかな?」
「うん、そう思う」
「そうすると怒ってるわけじゃないって言ってたのは、私は攻撃してないって言いたかったのかな?」
「ああ、うん、そう」
「それは友だちを責めたくないってこと?」
「うーん、そうなのかな?よくわかんないけど」
「自分が怒るなら友だちを攻撃するってことだ、そう思ってるのかな?」
「うん、そうかもしれない」
「もしそうなったら、そのあとどうなるの?」
「たぶん友だちじゃなくなると思う」
「なんで?」
「たぶん、この程度のことで怒るなんてひどいって言われると思う」
「この程度?すっぽかしが?」
「うん」
「わかんないなあ、じゃあどの程度なら怒ってもいいの?」
「わかんない」
「それ、なにされても怒るなってことじゃないの?」
「うん、そんな感じする」
「ところでさ」
「うん」
「そうだよね、必ずではないよね」
「うん」
「じゃあ、泣いてる人は必ず悲しい?」
「嬉しくてもなくときあるよね」
「じゃあ、泣いてない人は悲しくない?」
「そんなことないと思う、泣けないときもあるし、泣くほどじゃなくても悲しいときあるし」
「だよね、感情と行動は必ずしも一致しない」
「うん」
「じゃあ、怒ると攻撃するも必ずしも一致しないんじゃない?」
「そうなのかな?」
「頭にきてるけど冷静に話すってことあるじゃん」
「そんなことある?」
「あるでしょ、怒鳴ってたら話ができないし」
「うーん、でもそれじゃあ怒ってることが伝わらないような…」
「うん、そうだと思う」
「おれなら怒ってる原因を改めて欲しい」
「あ、そうだね」
「怒ってることが伝わっても、改めてくれなかったら意味ないと思うんだ」
「うん」
「怒鳴るのも責めるのも、改めて欲しいとか謝って欲しいからじゃない?」
「うん」
「もしも相手が改めてくれたり謝ってくれるなら、怒鳴ったり責めたりしなくてもいいんじゃない?」
「うん」
「すると、怒りの感情と、どうして欲しいかと、伝え方は別々に考えられるよね」
「うん」
「友だちに伝えなくていいとしたら、今自分は怒ってると思う?」
「わかんない」
「怒ったことはある?怒鳴ったり暴れたりじゃなくて」
「うーん」
「嫌だなとかやめて欲しいなと思ったらどんな感じがするの?」
「ざわざわするし、顔が熱くなったりするかな」
「それを世の中では『怒ってる』っていうと思うよ」
「そうなの?」
「うん」
「じゃあたぶん私怒ってる」
「だよね」
「うん…、そうか私怒ってたんだ」
「うん、でも責めてないし攻撃もしてない」
「なんかわかんないけどすっきりした気がする」
「自分の気持ちをぴったり言い表わせないと落ち着かないもんなんだよ」
「うん、わかる気がする」
「で、自分の気持はこれでつかめたけど、どうして欲しいかと、どうやって伝えるかが残ってるね」
「うん、でもよくわからない、どうしたらいいんだろう」
「謝って欲しいとかじゃないの?」
「うん…でも絶対謝らないと思う、怒る方が悪いって言われると思う」
「そうなんだ、ひどいやつだな、なんで友だちなの」
「わかんない、でもいつもだいたいつるんでる」
「つるんでるのが友だちなの?」
「わかんない、でも他にいないから…」
(気が向いたら続きを書きます)
うんち
ロングうんち