2019-11-13

かつてTOだった頃の話をしよう

およそ3年前、現場は地下。

推しから認知をもらったことをきっかけに、TOになりたいと思う一心で一気に上り詰めた。

推しはワイの顔が好きだったそうで、すぐに覚えてくれたし、オシャレには気合が入って、デート感覚現場に通った。

推しとの幸せな日々は2年ほど続いた。

しかし、ある日推しに干されたことで、現場に行く勇気を失った。考えれば考えるほど悪い方向に考えが進んで、毎晩毎晩干からびるほど涙を流した。

公演日を把握するのが怖くなった。

手元にはたくさんの円盤と紙が残された。

つのまにか、推しを好きだという気持ちは薄れていった。

結局、好かれたくて好きでいただけの、自分が嫌いなオタクと同じだったことがなにより堪えた。

干されてから1年後、久々に現場に入ると、推しがワイを見つけてくれた。指差してくれたし驚いてたから、ちゃんと分かってくれてたはずだ。

なんで来てくれなかったのと言われてる気がして、とにかく申し訳なかった。それから、前みたいなトキメキは感じなかった。

でも、3年前の恋とか愛とかの火傷しそうな感覚はなかったけれど、久々に会う友達に感じるような親しさがこみ上げて来て「また来るよー!」って声を出して手を振った。

その時、やっと、ワイが推しのために頑張って来たことは無駄じゃなかったんだと思うことができた。

円盤を積むこと、公演のたびに手紙を書くこと、ツイッター感想を書くこと、喜んでもらえたらいいなと思いながらプレゼントを選ぶこと。

ちゃんと、推しには届いてた。

TOだった頃、ワイが好きでいなきゃ推しは死んでしまうんじゃないかと(今では何言ってるんだと思うけどその時は本気で)思っていた。

でもそうじゃなかった。だって推しはたくさんの人に愛されてる。ワイはその中の一人でしかないけど、たしかにその中の一人ではあった。

重荷がようやく肩から降りた気がした。

やっと、ただのオタクになれた。

推し幸せならそれでいいと思っていたはずだったのに、TOになるという目標自分を苦しめ、そしてもしかしたら推しに余計な心配をかけてしまっていたのかもしれない。

TO特典なんて、推しにもワイにも、ほんとうはどちらにとっても重荷でしかなかったのかもしれない。

いつか推しが辞めてしまとき、そういえばあんオタクがいたなと思い出してもらえるような、そんなささやか存在になりたい。

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