普段なら、座席前のポジションに立ってつり革に掴まるんだけど、その日は特に混雑していて、それさえ叶わなかった。
なので、地獄のドア近辺エリアに立って、人に揉まれていた。いわゆる、洗濯槽エリア。 数駅で、頻繁に開くドアと反対側に進むことができたので、音楽でも聴いて精神統一を図っていた。
目の前の中高生が、キョロキョロ何かを探している様子なので、気にはなっていたけれど、勝手に「イヤホンのイヤーピースやな?あれよく落ちるよね。」と早合点していた。
カナル型のイヤーピース、ポケットから取り出すついでに引っかかって、どっかに消えたことは数知れず。接着剤で、軽くくっつけたらいいのだろうか?
ついでに、先日、替えのイヤーピースをYAMADA電機で買い求め「このイヤホンに刺さる」と確認したのに、家に帰ったら全然ダメだった。300円返せよな。
しかし、妙に真剣に探しているので、これはシリアスな落とし物なのではないかと気になり始めた。
声をかけてみると、「こういう白い四角いもので・・・」というので、探してみる。 ほどなく、落とし主から見て僕を挟んで離れた場所に何か落ちていた。