2018-07-27

三十路おっさんが1人で祭りにいった

数年前に彼女と別れてから夏祭りにはわざわざ行くことはなかった

思い出してしまうからというのもあるが、友人たちも祭りが好きではない

何より俺自身多忙のため行く気にすらならなかったである

残業が終わりオフィスを出ると、ふと祭囃子が聞こえた

何故か今日自然と足がそちらに赴いていた

なにかあるかもしれない、いつもと違う行動を取ったらなにか変わるかもしれない

たこ焼きくらい買って食べたら楽しいんじゃないか?案外いい出会いもあるんじゃないか

いいじゃないか祭り楽しいぞ?きっと楽しいはずだ

そんな淡い期待感祭り喧騒へと吸い込まれていった

近づくに連れ笑い声が溢れ、盆踊り囃子喧騒に飲まれ

屋台の眩しい光が目に飛び込んできた

こんな雰囲気久しぶりだ

気分も高揚するというもの

しかし、そこには何もなかった

正確には愉快に笑う家族連れや友人、恋人同士で楽しんでいる者たちばかり

いい歳をしたおっさんが1人で歩いているのを最後まで見かけなかった

俺、なにしてるんだろうなって気持ちになって

急に無性に悲しくなってそっと祭りを後にした

夜になっても少し蒸し暑いコンクリの上を

なんとはなしに昔のことを思い出しながら歩いた

過去を美化しすぎるのは良くないとわかっていながらも

の子と色んな祭りでかけたなとか、花火大会しかったなとか

二人で浴衣着ていったなとか色々思い出した

ジジジジ

急に足元でなにか音がしたと思ったら蝉だった

から落ちてしまったのか

でもしばらくしたら蝉は動かなくなっていた

そうかお前一生懸命生きたんだな

踏まないようにそっと横を通り帰路についた

我ながら女々しいなと思いつつもあの頃は楽しかったなって感慨にふけってしまった

たこからも1人で行くことがない祭りが来るのだろうな

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