べつにガチ恋勢でもなんでもないけど、夢に出てくるくらいには好きだったみたいだ。
彼女はベッドのようなものに腰掛けながらスマホでトーク収録をしていて、自分はその脇で見守りながらつい小声でツッコミを入れていた。
終了後、自分の声がマイクに乗ってしまっていないか心配になり、録音を確認しようと月ちゃんのスマホを触らせてもらっていた。
この時していたのは録音だけなので、あとからモーションをつけるんだなとか考えていた記憶がある。
Androidの画面を繰っていると、月ちゃんのスケジュールが映り、入金だのなんだの生活感のあふれる文字が並んでいた。
操作の覚束ない自分を見かねて、月ちゃんが横から文句を言いつつ手をだしてきて、左上の時計部分をタップした。
すると、するすると画面が最上部に戻って、おおっiPhoneじゃなくてもこの機能あったんだ!と感動した。
その後も録音ファイルを探すが、どうにも見つからない。もしかして失敗していたんじゃ…
と、やきもきしているうちに、夢から醒めた。
この夢の中の月ちゃんは中の人状態だったはずだが、彼女をあまり正視しなかったのか、姿の印象は一切残っていない。
起きてる今にして思うと、実際にはもっとちゃんとした収録方法でやっているだろうと思う。携帯もiPhoneだし。夢につっこんでも仕方ないが。
ともかく、夢の中でも、自分の小さな声など掻き消して聞こえてすらいないような勢いで、月ちゃんは騒がしく一人夢中で喋っていた。