自分は小売で働いている人間なので、思い当たるのはおせちである。以前働いていた大型店で、おせちを受け付けた後の伝票の転記ミスで、一件届け漏れが発生したことがある。正月は仕入れ元のメーカーもやっていないので、その時は店長がデパートで買って、お客さんの家まで持って行ったと聞く。
私個人には被害者としての経験がある。近所のケーキ屋でクリスマスにチョコのケーキを予約していたが、ケーキ屋のミスで受け付けがされておらず、予備の在庫のイチゴショートになってしまった。ケーキは当時5歳の息子のリクエストだったので、子供が大泣きしていたのを覚えている。
モノを売る立場に立つと、モノが金額でしか見えなくなることがある。ケーキ屋にとってはケーキが一個で3千円、着物の着付けなら一件で20万円ということだ。モノを買う側からすれば、それは単なる3千円や20万円の対価ではなく、思い入れのこもったものである。それが身にしみてない人間は消費者相手に商売をしてはいけないと思う。