普段は着信なんて滅多にない、あれば大抵手続きごとで比較的重要事項、という感じなので着信音量は落としてなかった。
鳴り響く着信音を早く止めなければと電話に出る。
女性の声、中高年の、もったりした感じ。
●●先生でいらっしゃいますか、いつも主人がお世話になっております、、私、妻でございます…
と続いて、なんだ間違い電話か、と番号を確かめるように伝えた。
電話の向こうのご婦人が伝えた番号は確かに私の番号だったが、全くの人違いなのは間違いなく。
再度かかってこないかちょっと不安に思いつつも、電話を切った。
間違い電話の彼女は主婦なのかな。私も仕事をせず家庭に入るような生き方をしていたら、あんな風にもったりとゆっくり話し、夫の身の回りの世話をして…と電話主の生活を思った。
と。考える。彼女は私を先生と呼んだ。最初は子供の学校の先生への間違いかと思ったが、主人が世話になっていると言う。習い事だろうか?趣味か何かの。しかし中高年の男性にあまりそういうイメージがない。あ、医者か?ひょっとして。夫の病状についての相談?しかしそれも変か、医者の個人携帯に電話相談なんて。じゃあなんだろう、夫が世話になっている先生と呼ばれる職業で、中年女性であり、連絡先が携帯電話。そして、夫を介さずに話す要件があり。
その旦那が教育機関で仕事していて先輩かなんかが中年女性なんだろ