2017-02-09

ゴディバおじさんと飲み屋の女

昔、飲み屋で働いていたとき

「○○ちゃん、これ好きなんだよね」と言って、

会うたびゴディバチョコを渡してくるおじさんがいた。

しかも毎回種類も同じ。決まってトリュフソートメントの12粒入り。

9粒になることも16粒になることもなく。

 

一応、経緯があって、初めてもらったとき

すごく嬉しそうなリアクションを返したような気がする。だからだとおもう。

飲み屋のねーちゃんなんて色んなもの貢がれ慣れてるから

何も思わないだろと思われるかも知れないが、

金額とか物品の問題ではなく、プレゼントというのはやっぱり嬉しい。

 

でも、なんというか、本当は、それ以上にそのおじさんが弱々しく

「あのさ・・・これ・・・甘いものとか・・食べられるっけ・・?」

差し出してきたので、無意識安心させなければという気持ちが働いたのだとおもう。

 

「えっ!甘いものめっちゃ好きです!わー!ゴディバだ!めちゃ好きですー!ありがとう!!!

 

みたいなことを言ったとおもう。

ちなみにこの頃からネコかぶりサービス精神は紙一重かも知れないとおもっている。

 

それから、そのおじさん、毎回持ってくるようになった。

 

「好きなんだよね」と言われ渡されるたびに

一瞬なんともいえない感情が込み上げてくるのだけど、

気づくと「うん!大好きー!」と答えてしまっていた。

正解とかわからないけど。

 

この話、別にオチはないんだけど、

なんていうか、何が言いたくて書いているかというと、

こういう不器用な感じの人は飲み屋に限らずたまにいて、切なくなってしまう。

 

女の子に何をあげたら良いかいまいちからないんだろうなぁ・・・

すごく喜んでいたからあの子はこれが大好きなんだっておもったんだろうなぁ・・・

チョコ自体もあまり詳しいわけじゃなくて、でも、ゴディバがなんか高級っぽいということは知っていて。

その中でもたまには種類を変えることも、なんかできないんだろうなぁ。

ゴディバはそりゃ、おいしいし、好きだけど、うん、そうなぁ。

 

と、当時、帰り道に送りの車の中でそのゴディバを食べながら考えていた。

そのお店を卒業するときもやっぱりゴディバだった気がする。

 

毎年バレンタインの時期になると思い出すし、

もう今後ずっとゴディバはもうゴディバおじさんの味としてインプットされ続けるんだろうけど、

そろそろ供養するために書いた。元気だといいけど、おじさん。。。

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