係長は斜め後ろで、文句を言う。
人物、作業、笑い方、しゃべり方、仕草
一日中文句を言い続ける。
もちろん近くにいても言う。
だが目の前にいると言わない。
係長は斜め後ろで文句を言う。
6畳間に4つのデスクが置かれている狭小な空間で。日がな一日中。
係長は斜め後ろで文句を言う。
社内で異動になった人間は全員、使えないから異動になったのだ、と私に理由を告げる。
自分がいる部署の人間でもないのに、さもそうであるかのように使えなかったという。
係長は斜め後ろで文句を言う。
普段笑いながら話している相手を、無能だと罵る。
どこを改善したらいいのか、を告げずに。
もちろん本人が目の前にいない、私の斜め後ろで。
係長は斜め後ろで文句を言う
指導もせず、ぐちぐちぐちぐち
係長は斜め後ろで文句を言う
係長は斜め後ろで自慢話をする
おじさまキラーだと、心なくおだてると冷静なふりを装って
昔からそうだったんだよね、全然嬉しくないけど。と嬉しそうに言う。
係長は斜め後ろで自慢話をする
必死なんだ。
そうですね。と言う。
自分までもが文句ばかり言う人間になって言っていることに気づく。
係長は遠くで私の文句を言う。
本当のお気に入りの部下に対して。
私に対する文句を言う。詳細は聞こえないから対処のしようがない。
聞こえるかもしれないこの空間で。
本当は届いて、気づいて、やめて欲しいという、願望を持ちながら。
そして思う。彼女と私は変わらないのかもしれないと。