お菓子を買って帰る途中に、黄色い帽子をかぶった女子小学生3人が
前方を歩いていた。
彼女のうちの一人が、何か袋を落とした。
当人はそれに気づいていない。
俺は落としたものを拾った。
もちろん気づかずに歩いている女児に渡すためだが、
俺は不審者と思われるのではないか。
知らない、髭を数日剃っていない
くすんだ色の服を着ている男を、いまどきの小学生は不審者だと思うんではないか。
うん、全く無邪気に信用はしないだろう。
したとすれば、教育が悪い。
無邪気に「おじちゃんありがとう!」などと、
笑顔で言えば、それは人を信用しすぎる。
「ちょっと」と声をかける。
こういうときは何て声をかければいいのか。
「君」とかはないしな。「ちょっと」にした。
振り向く女児は顔は真顔。
笑顔でも何でもなくすこし警戒しているようだ。
「これ落としてない?」
「あっ」といって手に取る女児。
その顔に笑顔は無い。いい反応だ。
警戒を解かないのは人見知りだからか。警戒するよう教育されているからかは
分からないがそれでいい。
例え相手が真顔でもだ。俺が髭面でもだ。
そのままわたして何も言わずにいくのはよくない。
女子小学生にびびりすぎだ。
いや、シチュエーションにびびり過ぎだ。
もっとわざとらしくていいのだ。
大人の振る舞いの全てが小さな子供にはすこしづつ影響を与えるのだし。
今日の俺の振る舞いが正解だと取られる恐れもある。
おれも礼を尽くすべきだった。反省だ。