昨日、5年前まで長いこと付き合っていた彼女に再会したときのこと。場所は、とある大学病院。
別れてからはほとんど連絡はとっていなかったので、突然だった。
地震は大丈夫だったの?みたいな会話から始まって、元彼女の家族や、当時共通の友達だった人で僕が連絡をとっていなかった人の近況になった。みんな結婚したり、子供が生まれたりだった。僕も結婚して子供がいて、とても幸せだ。
電話があったとき、僕の頭をよぎったことは「生きていたんだ」という事だった。
冷たいように思われるかもしれないけれど、元彼女はいわゆるメンヘラで当時も何度か自分で命を閉じようとしていた。
不治の病が、だんだんと体を蝕み、弱っていって死ぬ運命を背負いながら生きていて、「そんな風に死ぬくらいなら自分で死ぬ」と、いつも口にしていた。
だから死んでいても不思議はなかったし、心のどこかでそうでなければいいと思っていた。
元彼女が自分の近況について話したとき、それは僕が勝手に思っていた理想の状況とは違っていた。
つまり支えてくれる素敵な彼氏ができて、病気と戦いながら、今は幸せだ。という状況を望んでいたのだけれど、
実際は病気は当時よりも悪化して、臓器移植をしないと5年以内の生存率が10%という現実だった。
数日後には実家に帰るというので、僕はお見舞いに行くことを約束したのだ。
病室の中で、数年ぶりに見つけた元彼女は、ベッドに座って、微笑んでいるような、何かを待っているような穏やかな表情でどこかを見つめていた。
けして泣くまいと思っていた僕の決意はあっさりと崩れた。
元彼女は昔より前向きで明るかった。お互いに楽しくなる話をした。
僕はとりわけ子供の話をしたけれど、子供の写真を見せてあげることもできなかった。
齢をとって、太った僕の顔を見せることもできなかった。
何かしてあげたい。
文末にEDテーマ:平井堅『(曲名)』の記述が抜けてるぞ。やり直し。