普段は都会と呼べる場所で暮らしているが、常に何かに急かされているように感じる。
行き交う車、人がすし詰めとなった電車、道を歩く人の群れ。仕事では8時間以上パソコンの前に座り、仕事の関係者とのやり取りをメールやメッセージツールで延々と続ける。
仕事が終われば終わったで、SNSや動画サイトでぼんやりと情報を見つめ続ける。就寝しようとベッドに横になっても、気がつけばスマホを触って取り留めなく情報を探している。
脳が、心が落ち着く暇がない。
プライベートの時間にパソコンやスマホを触るのは自業自得ではある。だがそれもストレスからの逃避行動だ。情報に触れすぎて疲弊したストレスで情報を眺め続ける。スマホ中毒、PC中毒と呼ばれる症状なのだろうが、冷静に考えてみると末期感が半端ない。まるで泳ぎ続けなければ死んでしまう回遊魚のようだ。
そんな風に家ですら心が安まらないので、街から離れ自然の近くまで来た。
少し長めの休みを取って。
寂れた温泉街は良い。人も車も少なく、営業している店も少ない。刺激が少なく、やることもない。精々が温泉に入るか、散歩をするくらいだ。
沸き立つ源泉の湯気や、しとしとと降る雨粒を眺めていると、どれだけ心が疲弊していたかに改めて気付く。
ずっとこうしていたい。働くことに、普通の人として生きていくことに疲れた。
そういった生き方もあるのだろう。臆病過ぎて、今の生活から離れることが出来ないけれど。
他の人達はどう耐えているのだろう。苦しくないのだろうか。凄いなぁ。
こんなゆったりとした時間を子供の頃にも過ごした覚えがあるな、と記憶を掘り返してみると思い当たる思い出があった。
あれだ、正月の祖父母の家で、こたつに入りながら面白くもない正月番組を見ていた時の時間の流れかたと似ている。当時は退屈で仕方が無かった時間を、こんなにも貴重に思うようなるなんて。随分と歳を取ったものである。
増田という山里
ワイも時折静けさを求めて御苑へ逃げ込むことがある それでも人が多くてたまげるが