昨日友達と一緒母校の怖い先生のお家にビクビクしながら行ったんだけど(しかも遅刻して死ぬかと思った)、怒られるどころか丸くなってた。
こだわりぬかれた家具や食器に囲まれてお昼を食べながら雑談し、せんせいが今まで行った旅先の写真が綺麗に貼られたアルバムを見ながらエピソードを聞いて帰ってきたわけなんですけど...なんていうか、すごく、憧れの空間だったなあ。
先生のお城は駅から歩いて15分、知る人ぞ知るような細い小道を歩いた先に佇んでいる、落ち着いた雰囲気のマンションだった。先生は独り身で、一人で住むのにちょうどよさそうな広さのお部屋に住んでた。
ご飯食べるときにお茶を選ばせてくれたんだけど、8種類ぐらいあってびっくりしたし、3種類飲んだけどどれもめっちゃ美味しかったんだよね。お皿も、湯のみも選ばせてもらえたんだけど、ほんとどれも色も形もバラバラでこだわりぬかれてた。しかもちゃんとひとつひとつにエピソードがあって教えてくれる。物とそれにまつわる物語を大切にしているようだった。先生の話はもともと好きだったから、美味しいご飯食べつつ耳を傾けてたら少しだけ緊張が溶けて安心した。
それから少しして、部屋の奥から大量のアルバムを持ってきた。先生は旅行が大好きで、特に欧州にはよく行くそうだ。大量のアルバムはその旅の記録で、本人や風景の写真、チケットやパンフレットまできちんと保管されていた。私自身、チケットやパンフレットは役目を終えたらすぐ捨てちゃうような人なので、それを見たときなんて几帳面なんだ、って素直に尊敬した。
それからずっと、サティの音楽に包まれ、友達と先生とコーヒーを飲みながら、ツーリストに変身した先生が華やかな欧州旅行へと連れてってくれた。本当にたくさんの国に旅をしていて、それぞれの場所や人のエピソードを事細やかに、分かりやすく教えてくれる。気がついたら昼の優しい日差しは夜の暗闇へと変わっていて、まだまだ聞きたりないという気持ちを抑えて帰路に着いた。
先生の生き方は私にとってとても憧れだ。自分のためだけのお城にひとつひとつ世界にひとつだけの宝物を集め、いろんな国に行けるなんてこれ以上の幸せがあるのだろうか。
でも私にはそんな生き方はできないだろうなあ。親には地元で優良企業に就職し、ちゃんと結婚して子供を産んで欲しいってずっと望まれてるし、私も親のこと好きだからきっとその通りにするよ。
先生の生き方はもしかしたら何にも縛られない、自由が大好きな私が本当に求めてる生き方かもしれない。でも私にはどんなに手を伸ばしても届かない生き方。できたとしてもたくさんのことを捨てなきゃ掴み取れない生き方。私は自由が好きなくせに臆病だから、捨てるのが怖くて捨てられない。なんて考えてたら辛くなってきたよ。
就活、上手くいくかなあ
(この話は8割の本当と2割の嘘でできています)