嫁がまどか☆マギカにハマっておかしくなった。
今までは本当に普通のいい嫁だった。
俺が朝起きれば食卓には朝食が、夜疲れて帰れば疲れも吹き飛ぶような笑顔とお風呂においしい夕食。
趣味はと言えば、手芸にお菓子作り、あとは週に一回のスイミング。
少しドジで可愛くて優しくて、しかも巨乳で本当に自分にはもったいないくらいの嫁だと思っていた。
そんな彼女がおかしくなったのは、深夜偶然見せてしまったあのアニメのせいだった……
俺は仕事柄帰宅があまり早くなく夕飯を食べた後、ひとりで深夜遅くまでテレビを見る習慣がある。
あの日もそんな日だった。
俺はひとりで深夜、なんとなく毎週見ていたまどか☆マギカの第三話を見ていた。
マミさんがマミられる、あの回だ。
嫁は冷蔵庫から出してきた麦茶をコップに注ぎながら聞いてきた。
「えーどうしようかなあ」
嫁はチラッとテレビ画面を見た。
いつもならここで「眠いからいいやーおやすみ」と言って寝室に戻ってしまうのだが、この日は
そう言い、俺の座っているソファの横に座ってきたのだ。
初めて見るまどマギに嫁は「このピンクの子が主人公?魔法少女なの?」とか「黄色、かわいー」とかキャッキャしながら見ていた。
そして、あのシーンがくる。
マミさん……!!
「えっ!?」
声をあげたのは嫁だった。
「えっなになに、黄色食べられちゃったの?」
「あ、見てたんだ」
「半分見てたよ。なんなの、このアニメ」
「だからこれは……」
「たぶん見れるよ。明日さがしてみようか」
「お願い」
そう言ったっきり、嫁は黙って食い入るように画面を見つめていた。
その後からだった。嫁の様子がおかしくなったのは。
朝はご飯を作ってくれるのだが、急に立ち上がって窓を見つめて
「きゅーべー……」
と暗い顔で出迎えて
「なんで!?」
と聞いたら
「ティロ・フィナーレ!!」
と言われ玉を思いきり握られ夜の生活を拒否された。
そして、嫁は外出が増えた。
ネットで知り合ったという自称魔法少女達と日夜ファミレスで会議を繰り返しているらしい。
まどか1人と杏子1人、それになぜか人型のキュウベエ、マミさんにいたっては嫁を含めて3人いた。
一応、挨拶をして俺は部屋に閉じこもった。
部屋の外には異空間が広がっていて一歩も外に出られなかった。
本当にどうしてこんなことになってしまったのだろう。
もしも本当にキュウベエが存在するのなら、俺は迷わずキュウベエと契約して「嫁を元に戻して!」と契約しようと思っている。
だから、お願い。