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2020-03-22

監視カメラの思い出

学生時代とある斎場警備員としてアルバイトしていた。

夜勤だったがほぼ警備室に詰めるだけだったので楽で時給も良く、さら通夜ぶるまいの残りを食べさせてもらえる事もあり貧乏学生には非常に嬉しいバイトだった。

警備室には各部屋の監視カメラ映像がありそれをぼけーっと眺めている時間が大半。

お葬式日中に終わってしまうので、俺たちが働くような夜勤時間帯で監視カメラ映像に映るのは半通夜が終わり誰もいない祭壇だけが映されている事が多い。

それでも寝ずの番をされる方も少なからずいて明け方まで故人との別れを惜しむ人もいる。

ある日、いつものように余った寿司を頂いて警備室でウトウトしながらハッと起きると棺桶に顔を伏せて悲しんでるご遺族の映像が映ってた。

時間は夜中の1~2時位だったと思う。

若い人なのかな?気の毒に」と思いながらそのモニターを見ていると、そのご遺族の方が突然パッと顔上げて思いきりモニターの方を見てきた。

俺は自分直視されたような気がしてドキッとした。

解像度がよくないから表情は分からなんだけど、さっきまで棺桶に突っ伏して悲しんでいたご遺族の方が突然カメラの方を見つめているのは明らかだった。

監視カメラから相手には分かりようがないんだけど、思わず怖くて目をそらしたが少ししてまたモニターに目をやるともうずーーーーっとこっちを見てるんだよ。

怖くて怖くてモニター消そうと思ったけど消し方分からなくて、モニターが視界に入らないように必死に本とか読みながら夜警から帰ってくる同僚を待った。

同僚が部屋に戻ってきてホッとしてモニターに目をやるともうそのご遺族の方はいなかった。

あれ以来、ドラマ映画の作り物でも監視カメラ映像とか見るとあの時のこと思い出して怖くなる。

 
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