はてなキーワード: レコ芸とは
言わずにはおれないので、書く。
「レコード芸術」という雑誌が7月号で休刊になるらしい。「レコード芸術」は老舗のクラシック専門雑誌で、論評やインタビューなどの内容が大変充実しており、日本におけるクラシック文化/録音文化を支えた大変偉大なる雑誌であることに間違いはないだろう。
休刊にあたり、「やめないでくれ」というネット上での署名活動が活発化している。昨夜の段階では600人ほど、いまみたら1800人以上が賛同を表明していた。
とても素晴らしいことだ。
私も零細出版社の中の人であり、40年を超えるあるニッチでマニアックなジャンルの雑誌を出版しているが、文字通り雑誌の寿命は風前の灯火であり、いつ会社から「やめろ」と言われるかわからない、そんなギリギリで生きている。
だからこそ、今回の「レコ芸」騒動については、「署名運動が起こるくらいに愛されている雑誌であるのだなぁ」と羨ましく思うと同時に(私の作っている雑誌がなくなるからとておそらくこんなアクションは誰も起こしてくれないだろう)、
ネットでちょこちょこっと書いた署名如きで何も動きはしない、ということは強い確信を持って言える。
ここ何年も、それくらい雑誌はギリギリのところで踏ん張り続けて、何度も出たやめようという意見を何度も覆してやってきていることが、同業者としては痛いほどによくわかるからだ。
もしここから、それでもどうしても休刊になってほしくない、と思う場合に取りうるアクションは一つである。
「地元の本屋に行ってレコ芸を1冊買う」、ただそれだけである。
もし少し余裕があるのあらば、別の書店に行ってまたレコ芸を1冊買い、それを興味のありそうな友人にプレゼントすることである。
このアクションは何度取っても構わない。やればやるだけ効果がある。
休刊を発表した版元が、それを覆す決定を下し得る可能性があるのはたった一つ、「現在発売中の号が有意に売れる」、ただそれだけである。
レコ芸の存続を望むならば、ネットでの署名活動などに参加する必要はない。
ただ本屋に行って1冊買って欲しい。
1800人がひとり1冊買えば、世界を変えられるかもしれない。