スーパーのパンコーナーで、パンが一袋、仕切り板に引っかかって陳列棚の奥に押し込まれていた。
これじゃあ見にくいな、と手前に引っ張ったら、パンの袋の角がちぎれてしまった……らしい。
パンの袋は棚の奥に引っかかったまま、自分の手の中にちぎれたパンの袋だけが残った。
とかだったら自分がちぎったと理解できるんだけど、その時の自分の感覚では、パンの袋をつまんで、引っ張って、離して、あれ、この袋破れてるな。って感じ。
「引っ張ったら破れちゃった。」という感覚はなくて、「ああ、誰かが破っちゃったのを棚の奥に隠してたのか」と思った。もっと言うと、「不良品を見つけたから店員さんに伝えないと」とさえ思った。
と同時に
いや、どう考えても、いま引っ張ったせいでちぎれたんだよな。ちぎれる瞬間も見てないし、自分が手を離したとき何を持ってたかも見てないし、なんの証拠もないけど、たぶん普通そうだよな。
とも思った。
これっぽっちもまったくぜんぜん、直感的には自分がやったという感覚はない。謎の第三者が破って棚の奥に隠していたというのが真実だ!としか思えない。
のだけれども、どう考えても自分が破ったとしか思えないんだよなあ、と、とりあえず弁償ということでパンは買って帰ってきた。
セルフレジなので誰も気付いてはくれない。
買ったパンがそこにあるんだけど、これは自分にとっては「悪い人が袋を破って(もしかしたら毒を仕掛けて)棚の奥に隠していた怪しいパン」なので食べる気にはなれない。
こんな感じで、たぶん自分が犯人なんだけど、犯人は別にいて自分はやってない!!!と思っちゃうことがよくあるんだよね。
いまはちゃんと自分で自分に「いやその真犯人は君の妄想で、たぶん君自身がやらかしちゃったんだと思うよ」ってつっこみいれつつ常識的な行動を取らせることができてるけど、いつか老人になった時とか、妄想を妄想だと自分で押さえ込むことができなくなったら、どうなっちゃうんだろうな。
何言ってんだコイツって人にも、その人の中にはそれを言い出す理由があるんだろうから、ボケてるで済ませないようにしたいなって思うし、
そうはなりたくないなとも思うのだ。
毒入りパンかもしれんもんをよう買うなぁ