2022-09-24

母親認知症が発覚した。いつかは来ると思っていたが、いざ直面するとやはりショックだ。

ショックを受けている場合ではなく、すぐに動いて生活を整えできるだけ長く穏やかに暮らせるようにしてやらなければならない。

だが、今夜だけは一人で少し泣こうと思う。

から三年前に少しだけアレ?と思うことがあった。ほんのわずかな違和感だったので、兄妹で情報共有し覚悟を決めておこうという話し合いはしていた。

あれから三年、こまめに兄妹で代わる代わる電話を入れていたがコロナのせいで直接会う機会が極端に減っていた。

近所に住んで面倒をよく見ていた優しい兄が転勤になったのが二年前。

それを機にこの数か月で一気に症状が進んだようだ。うつ症状も見られる。

同居している父親は、変わりゆく妻の面倒を見ながら子供たちには言い出せないでいたのだろう。

会話はまだできるし、日常生活もまだ自分でできることが多い。

驚いたのは母親が非常に穏やかなことだ。少しもイライラしないし、口調も言葉もとにかく優しい。優しいまま認知症が進んでいる。

父親が少しずついろいろな記憶が零れ落ちていく母の全てを受け入れ、細やかに見守っていたおかげのようだ。

子供には言わないが、きっと父親は大変だったはずだ。睡眠が浅く、疲労の色が濃い。

カバンの中に財布や化粧ポーチが見つからず途方に暮れたまま「お父さんが優しくて全部荷物を詰めてくれるから私はわからないの」と言ったときには思わず涙が込み上げた。

これから症状が進めば感情の起伏をコントロールできず、被害妄想もでてくるだろう。今だけのことかもしれない。

だが、ひたすら優しく、愛情深く、家族に尽くし、父を深く愛した母親最後旅路の始まりがこれほど穏やかに愛に溢れたものであることが切なく、

ショックなのと同時に感謝の涙が込み上げてきて、言葉に詰まる。

これから家族で長期的なサポート体制を話し合うつもりだ。母のためにも父のためにもいっぱいいっぱい考えよう。

だが今夜だけ、母と父のために泣こう。

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