この記事のブコメ欄で書ききれないことがあったのでここで書く。
https://b.hatena.ne.jp/entry/s/bunshun.jp/articles/-/52668
言葉というのは難しいもので、特に日本語はどんどん変化しているから、誤解から広まったものでも定着すれば正しい言葉となる。だから、数学的な意味での厳密さで「正しい・誤り」を言うことはできない。さっき生まれた言葉でも、通用すればそれはもう正しいというものになってしまう。
それを前提として、そもそも「的を得る」という言葉の方が「的を射る」よりずっと古いというのは今現在の定説で、その意味で「的を射る」こそ誤用だった、ということになっている。もちろん、上記の理由で「定着したからには正しい」という解釈はできるけれども。
ではなぜ「的を射る」が後から生まれ、広まっていったかなんだけど、それについてはこの記事が詳しい。
http://biff1902.way-nifty.com/biff/2010/04/post-63d8.html
概略をここに書くと、最初はおそらく「的を得る」という言葉になんか違和感を覚えた人がいて、その人が推測で「『的を射る』の誤用だ」説を唱えたら、なんかそれがしっくりくる人が多かったので、人口膾炙していった。特に、三省堂の辞書は先陣を切って「的を得るは的を射るの誤用」と書き、他の辞書もそれに追随した。しかし、その後どこをどう調べても「的を得る」より以前の「的を射る」という言葉を使用した形跡が見つからなかったので、「的を得るは的を射るの誤用という解釈こそ誤り」という見解になった。今では、三省堂の辞書にもちゃんと「的を得る」が載っている。
のみなさんや、そのコメントに星をつけた方々は、まずは「ググれカス」という言葉をみなさんのお好きな辞書でお調べになるところから始めてみてはいかがだろうか。