2021-09-04

松田  軍事課の資材班の戦争指導全体に関する国力判断は、どうですか?  私は航空の方をずっと研究しましたので、航空の軍備を通じては、これは結果論ですけれども、もっと、深刻に検討しなければいけなかったという反省が非常に強いわけです。  

中原  十五年と十六年では、大分違うんで、僕は兵站総監部参謀にもなって、よく、次長沢田茂・総監部長参謀次長兼任〕に呼びつけられました。「君は、俺の部下でもあるんだ。あんまり悲観的なことを言うなよ」と。  そのときは、「ハア」と言って帰ったけど辻(政信・ 36期)さんなんか、開戦前に、兵站班長でしたが、会議室に入るとき入口で呼び止めて、「お前、この会議同意するのか、しないのか。同意しないなら、会議したってしょうがない」と、頭から極めつけられる。言うならば脅迫されたりして、実際、僕らの仕事数字からカーブに書いてあげると、一番よく解るんで……。しかし、それをあんまり出してもいかんし、当時の空気では「駄目です」なんて、言えんものがあった。」

—『なぜ必敗の戦争を始めたのか 陸軍エリート将校反省会議 (文春新書)』半藤一利 編・解説

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