2021-04-15

死にかけのアゲハ蝶が可愛かった

天気が良かったから緑豊かな場所に行きたくて近所の寺に出向いたら、アゲハ蝶が落ちていた。羽を開いてじっとしているものから、もう死んでいるのだろう、このままでは人に踏まれしまうかもしれないと思い、移動させようと軽く羽に触れた。アゲハ蝶は力なく動いた。まだ生きている。だがほとんど死にかけているようで、羽を軽く動かしただけで、飛んで逃げることはなかった。よく見ると左上の羽が少し欠けていたが、それ以外は目立った外傷はなく、とても美しい蝶だった。私は虫が嫌いで、自ら触ろうとすることなほとんどない。だがそのアゲハ蝶には不思議な魅力があり、「花のあるところに連れて行ってやろう」と適当理由をつけて手に乗せた。蝶はほんの少しも抵抗せず、ただ黙って私の掌に身を預けていた。その姿が愛おしくて、手放したくなくなった。

パタパタと忙しなく羽を動かす蝶には興味が無い。弱り果てて動かない蝶は可愛い。そんなわけがないことは分かっているが、ぐったりと私の掌に留まるその姿は、まるで私のことを信頼しているようだった。

犬や猫は懐いてくれて、自分意思で私の膝に乗り休んでくれる。だが蝶はどうだろう。私には虫の飼育経験がなく、虫が人に懐いて自らその手に止まることがあるのかは知らないが、どうにも想像がつかない。虫、とりわけ嫋やかに羽ばたく蝶はもっと自由で、人になど懐かないのではないだろうか。

から死にかけのあのアゲハ蝶が可愛かった。弱々しく羽を動かし、上へ上へと進もうとした時は少しイラついた。動かないでほしかった。掌に身を預けているのが可愛いから

あの感覚をもう一度味わいたい。心の中が慈しみに満ちて、守ってやらねばと思う感覚しかし弱った蝶に出会うことは簡単なことではなく、まだそう時間が経っていないのに私は酷く焦がれている。弱った蝶を手に乗せたい。どうすればまた出会えるのだろう。

この日記にはオチもなければ中身もない。ただ蝶を可愛いと感じた気持ちを長々と吐露した、それだけの話である。ここまで読んでくださった方がいるのであれば、時間無駄にさせて申し訳ないとすら思う。

だがもし外傷をつけず、蝶を殺さず、弱らせる方法に心当たりがある方がいたら、どうかそれを私にご教示願いたい。

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