ナスがよくとれるので那須市だが、本当は茄子市がよかった、と臆面もなく語る人々がくらすその街にある大学の名前はもちろんナス大学だ
可能性の広がりを名前からも示すため、あえて漢字は使わず「ナス大学」と表記する、と決めた初代学長の苗字は当然「那須」で、そんな調子なので日本初にして世界初のナス学部なんてものが存在する
ナス学部はその名の通りナスについて学ぶ学部で、専攻は三つに分かれる
ナス学部ナス専攻とはなんなのか、医学部医学専攻、文学部文学専攻みたいなもので、漠然としすぎているではないか、というのはごもっともで、ナス専攻の学習内容は多岐にわたる
ときには生物学的にナスをひもとき、ときには歴史上に現れるナスを探し、ときにはナスの持つ記号学的意味を論じ、ときにはナスの絵まで描く
学部のたった4年間ナス専攻に在籍しているだけで、その人間の人生はほとんどナスになってしまう
ナスを見れば飛びつき、ベランダでナスを育て、食事はナスばかり、那須という苗字を得ることを目的に結婚をし、子供ができればナスという名をつけ、ナスだけを与えて育てる
那須美術大学
ナス大ナス落ち京大農